見つけたらうれしくなるもの。あまり見かけないけれどふと出会えるもの。そのひとつがセブンティーンアイス。セブンティーンアイスはプールの帰りに買ってもらったり、近所の本屋の駐車場にひっそりあったり、なによりセブンティーンという響きが明るい。お手軽な青春。今日も小布施のハイウェイオアシスで見つけました。カラフルチョコ味を買う。結局伊藤も同じ味なので、ふたりで同じ味を食べる。伊藤は牧場アイスを買ってカラフルチョコを自分でよくかけて家で食べているらしい。ツムツムにもはまっているらしくて隣でアイスを食べながらツムツムをしている。「ももちが隣にいるというのにツムツムをしているなんて…」と言いながら素早く指を動かしている。いつも時間は穏やかに流れるのに、あっという間に話題がはねていく。おもしろいひとだ。「1回でいいからさー、カレンダー通りに働いて休みたいんだよね」と、犬をつれた家族を見ながらぽつり。人間は毎日ちいさな憧れをふと抱く。そしてきっと忘れてしまう。時折現れる憧れは現実味が無いふわふわしたイメージだから都合が良くていい。わたしはアイスに食べることだけに集中していたのに、溶けたアイスを服にこぼした!伊藤が「ほらまたやったー」とツムツムをしている手を止めてティッシュをくれる。ツムツムの人に負けた、くやしい。
同じアイスを分け合わずにひとりひとつ買うように、きっとわたしたちはそれぞれの持ち物を己に従って決めてきた。そうでいながら、ひとつの車にふたり乗り、ひとつのレジャーシートにふたりで日向ぼっこをし、ひとつのベンチにふたりで座っている。ほうんとうの意味で人はひとりだとわたしはずっと思っていくのだろうけれど、そんなことたまには忘れていいんじゃないかと暖かな陽に照らされながら木の下で眠った。