好きな作品だった。
一生手の届かない人を愛することについてのお話だと思った。
ちよこさんの「あの人を追いかけている私が好き」という答えは少しズルくて可愛くて、この人のこと好きだなと思った。届かなくても幸せだと思えるのはすごい。届いていたとしても恐らく幸せだっただろうな。
監督の、憧れを守り続ける選択も美しかった。嘘が下手なのに水を差すような秘密は最後まで守り通したのはかっこよかった。宇宙へ旅立つちよこさんに「私はあなたを」のあとの言葉を伝え切らなかったのは奥ゆかしくて可愛かった。彼のような人間でありたいと思った。
こんな綺麗な映画があるんだな
パーフェクトブルー見た後だから身構えていたけど、いろいろと真逆だった。パーフェクトブルーについては、手の届かない人に無理やり手を伸ばすことも憧れを押し付けることも醜いし愚かだし、誰かミイちゃんを守らんかいという感想だった。この2作品はなぜ一緒に語られることが多いのか、納得した。
フィクションと現実が混ざり合ってどっちがどっちみたいな作品だと、わかんねえよと投げ出したくなる時もあるが、千年女優ではカメラマンが良いツッコミ役をしてくれたので置いていかれることなく最後までちよこさんを追いかけられたのよかった。
今敏さんの作品は3つくらいしか見てないが、観客に親切な演出をしてくれる人だなと思う。頭の良さそうな人に支持されている印象があったので作品も小難しいのではと誤解していた。アホでもわかるのに気を遣われている感じもないのがすごく良い。他の作品も見てみたい。