某週木曜日、どこからかポタポタと水の滴る音がする。
外は晴れている。
自慢ではないが、水のトラブル耐性の低さには、かなりの自信がある。
おっかなびっくり、あちこち見て回ったが、目視において水漏れしている箇所は見当たらない。
さらに音の出所を探ると、どうも壁の奥から聞こえてくるようだ。
壁の向こうは、我が家ではなくお隣さんである。
そして、ここ数日、お隣さんの気配を感じない(普段はかなり賑やか)。
おそらくお留守。
易神様にアドバイスをお願いした。
地雷複 初爻。
ポタポタと繰り返す雫の音だが、幸い、おおごとにはならなそう。
お隣さんは、近々戻るはず。
1週間を区切りとして、今後の展開を見守るのがよかろう。
とは言え、打てる手は打っておかねばならない。
念のため、契約業者を呼び、うちの室内を確認してもらう。
管理会社にも、状況を伝える。
それでも、そわそわと落ち着かない。
音が気になるというより、うちが原因の水漏れではないかと、不安で仕方ない。
そこで、気持ちを落ち着けるためのアドバイスもお願いした。
天風姤 五爻。
不安は不安として、どうこうしなくてよい。
そのまま、広い心で抱いて過ごせば大丈夫。
……という励ましだと解釈。
天風姤は、地雷複の陰陽が裏返った姿をしている。
関連する事柄でいくつかお尋ねすると、よく、こんなカタチでお返事をいただく。
見る角度が変化しているだけで、本質は同じだよ、ということだろうか。
翌週の木曜日、音の出所が判明した。
お隣さんの浴室で天井から水漏れしていた、とのこと。
「有隕自天」と、ちゃんと教えてくださっていたのだった。