子どもの頃、1年くらいの間だったと思うけれど、防災リュックを常に背負っていた時期がある。当時、阪神大震災の被害を伝えつつ、大地震が起こったらどういうことが起こるかを紹介している番組がよく放送されていた。その番組が幼心にとても怖くて、すぐに持って逃げられるリュックが手元にないと不安でたまらなかった。家の中でも出かけるときも手放さない私に周りの大人は笑っていたが、小学生になるかならないかくらいの私には切実だった。
私も今となってはそこまで怖がらないが、元々怖がりだっただけあって、少しでも怖いと感じる状況は無意識に避けている気がする。今、戦争の足音がどんどん近づいているのを感じるけれど、私みたいな怖がりの人間が多かったら戦争なんて起きないし、地震で被害を受けて切り捨てられる人も減るんじゃないだろうかと思うことがある。自分でいうのもなんだけど。でも、そのためには知らないといけない。テレビを見なかったら、防災リュックを持ち歩くことはなかっただろうから。何かで知って、想像してみるというプロセスなしに人は怖がることはできないんじゃないだろうか。恐怖や不安は、人間が生き残るために必要な機能だと聞く。ここで言っても届いてほしい人には届かないだろうけど、勉強をしよう。知って、想像して、みんなで怖くない社会で生き残ろう。