「……何故お前はいつも落ち着きがないんだ」
道端にあるゴミ箱を漁ったら刃物に手が触れて肌が切れたり。段ボールを漁ったら爆弾がくっついてきて離れられなくなったり。彼女の心の中で親指を立てていた道徳がその蛮勇に呆れて賞賛を取り消すような出来事は、この短い旅の間でだけでも数えきれないほどある。
「しょうがないじゃん。だって気になるものが多いんだよ」
今もまた紆余曲折あり煤まみれになっている少女を見て、彼は呆れ顔で額を抑えた。当の本人はというと、素知らぬ顔で小首を傾げていたが。
「もしも命を脅かすような危険に遭遇したらどうするんだ。少しは慎重に──」
「ううん。それは困っちゃうね。けど、本当にあぶないものならあんたが止めてくれるでしょ」
「……。善処はしてやるから、手の届かないところに行かないでくれ」
そこまでの面倒は見きれない。眉を下げる丹恒を見て、星はけらけらと笑った。
なんだかんだ身内に甘い彼がどこまで許してくれるのか試してもいるんだ、なんて。とても口には出せないよね。