2月某日の深夜、左の奥歯が爆発するような痛みに襲われた。抑えようにも鎮痛剤がなく、毛布の中で呻き声をあげ、泣きながら夜が明けるのを待つしかなかった。翌日、会社を休み歯医者の予約。およそ10年ぶりだった。それまでは特に症状がなく、存在自体を忘れていたが、あまりの痛さに観念した。幼少期に通っていた頃の恐怖心がよみがえる。
処置を受けられるまで期間があるため、市販薬で応急処置。用法容量を守っているとはいえ、毎日服用していると不安になった。
痛みの原因は、親知らずによるものだった。知ったかぶりをしていたが、親知らずとは「前歯から数えて8番目の永久歯」のことなんだそう。傾いて生えてきたことにより、他の歯を圧迫しているということか。抜歯を薦められたが、今回訪れたところでは処置が難しいらしく、別のところを紹介された。そのかわり、ついでに見つかった虫歯を治療することになった。
子供の頃は永遠にも思えた苦痛な時間だったが、10年分の医療の進化なのか、歳を取り時間感覚が鈍くなったのか。はたまた、子供の方が処置が難しいのか。想像よりも短時間で、痛みも一瞬で済んだ。
それと併発する形で頭痛を患った。左のこめかみをピンポイントで痛めつけてくる。"脳内出血"と診断されたら納得できるレベルの痛さで、顔を歪ませ不機嫌な人になる。
親知らずの位置と同じなので、それが原因なのでは…と歯医者に相談したが、関連性があると断定されなかった。痛みに意識を向けてみると、歯は痛くないのに頭が痛いという時間が確かにある。これらは独立している?
頭痛の原因を探るべく、内科へ向かう。色々質問されて、MRIを撮影するか聞かれたが、ひとまず様子を見ることにした。とにかく鎮痛剤が貰えればよかった(その頃には、市販薬の効き目が薄れていた)。
この薬の効き目がすごい。嘘のように痛みが消えて感動した。現代の恵まれた医療環境に生まれてよかったと、大袈裟だろうが感謝した。一方、これが効かなくなった時のことを考えて恐ろしくなった。
最初の発症から4ヶ月が経った。
虫歯の治療は終えた。かぶせものや、穴を埋めるような処置をしたため、糸ようじが入らない箇所ができた。
頭痛は、2回目の通院でふんだんに薬を頂き服用中。未だに原因は分かっていない。発症する周期はだんだん緩やかになっている気がする。薬の効き目が鈍くなっているのも心配だ。
これほど長い体調不良は珍しい。このままだと、今年の漢字は「病」になってしまう。ただ、病院に行くことが上手くなったし、行ったことのない場所へ車を走らせるのは気分転換になった(ポジティブに捉えるしかないのだ)。
親知らずの治療は1週間後に控えている。人生初の歯医者2Days。抜歯した後も、痛みが長引くと予想している。まだまだ戦いは続く。