紙の本か電子書籍かと聞かれたら、電子派です。それも相当な。わたしは本を買うとき、電子版があるなら必ずそちらを選びます。ぱっと読めるからです。本を買おうと思うのは、その本を読みたいと思ったときですから。購入した本は、スマホ、PC、iPad、Kindle Paperwhite (最近買った) 等々、そのとき眼の前にあった端末にすかさずダウンロードし、時間と集中力の許すかぎり、一気に読めるところまで読んでしまいます。
次の日の朝を迎えたときには、もう本のタイトルも表紙もほとんど思い出せなくなっています。だってもう、手元にあるのはただの”いつもの端末”で、今日は今日の歯磨きをしながら観るための YouTube 動画を垂れ流していますから。
でも、その本の、目に焼き付いた文字が、登場人物の叫びが、著者の嗚咽が、知らない誰かの境遇が、心の中で少し考えたことが……夢の裏側で処理されて、わたしの心の奥底に、音を立てずに焼き付いているのです。気づかないうちに、そっと、ほんの少しだけ、脳の回路が更新されます。何万文字も読んだとしても、砂粒ほどの影響しか残さないことがほとんどですが、それを何十回、何百回と繰り返すと、確実にわたしの思考の原っぱに、けもの道が形成されていきます。いつか、その道の終端にふと戻ってきたとき、自然と新たな読んだことのない一冊に手を伸ばしたくなります。
これって……オナニーと一緒じゃないですか?
二次元か三次元かと聞かれたら、二次元派です。それも相当な。わたしはおかずを探すとき、必ず二次元を選びます。最近は AI でぱっと生成することもあります。選定したおかずは、スマホ、PC、iPad 等々、そのとき眼の前にあった端末にすかさずダウンロードし、精力の許すかぎり、なるはやで一気に致して、片付けてしまいます。
次の日の朝を迎えたときには、もうおかずはほとんど思い出せなくなっています。だってもう、手元にあるのはただの”いつもの端末”で、今日は今日の歯磨きをしながら観るための YouTube 動画を垂れ流していますから。
でも、そのおかずの、目に焼き付いた情景が、登場人物の喘ぎが、著者の倒錯が、知らない誰かの性癖が、心の中で少し妄想したことが……夢の裏側で処理されて、わたしの心の奥底に、音を立てずに焼き付いているのです。気づかないうちに、そっと、ほんの少しだけ、脳の回路が更新されます。何千回も擦ったとしても、数mLの精子しか残さないことがほとんどですが、それを何十回、何百回と繰り返すと、確実にわたしの嗜好の原っぱに、けもの道が形成されていきます。いつか、その道の終端にふと戻ってきたとき、自然と新たなおかずに右手を、ちんこに左手を伸ばしたくなります。
これって……読書と一緒じゃないですか?
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