映画『カラオケ行こ!』を観ました

morihaya
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高校生くらいからの学生だった昔はカラオケが好きで、友達とお得なナイトパックプランが始まるまでの時間を、ファミレスのガストで当時の最安メニューだった冷奴とドリンクバーをベースにしながら過ごしてから、オールでカラオケに行くのが月1くらいの楽しみだった気がします。AM03:00くらいからの疲れ切って自分達が何をしているのか曖昧になり、歌ったりだべったりしてただ時間を浪費している感覚に酔いしれていたような思い出がカラオケにはありました。そんな記憶がふっと本作のタイトルを見て浮かんだので行ってきました。

さて映画『カラオケ行こ!』は個人的には不思議な印象の作品で、恋愛もバイオレンスも少しちらつきつつも前面には出てこず、タイトルにあるカラオケ自体も舞台装置でしかなく、本流は上品なヤクザと純情そうな中学生の不思議な交流を描いた面白い作品でした。仲が悪いわけでもないのに良いとも言い切れないところが人間関係の妙という感じです。

最近のヤクザをテーマ(ネタ?)にした傑作としては『極主夫道』が個人的には筆頭に上がりますが、あそこまで振り切った笑いはなく、本作の登場人物たちの造形は丁寧で実在してそうな気配がありました。

主人公の持ち歌の『紅』は最後までメインのテーマとしてしっかりと歌われていて、終盤のスナックのシーンにおける歌唱は見事でしたし、歌い切るまでは手に汗を握っていました。

学校のシーンも結構好きで、愛すべき面倒な後輩と、頼れるし素敵な副部長、不思議な魅力を持つ”映画を見る部”などの描写はかつての学生時代を少し思い出して心がざわつく感じがあり良いシーンでした。

鑑賞後、カラオケへの衝動が湧き上がり、帰宅の途中で思わず聞いたこともない地元ローカルのカラオケ店に入り1時間ほど歌って帰りました。人をカラオケへ動かす力が本作にはあります。ちなみに2回ほど『紅』に挑戦してみましたけれど、前奏も間奏も長いし音程が高くて激ムズだしで、どうしてこれを選んだんや...となる気持ちも体感できて良かったですし、それでも「紅だぁぁぁぁぁっっ!!」って叫ぶ気持ちよさも味わって主人公2人それぞれの気持ちをわかったつもりになって良かったです。たまに行くと楽しいですね、カラオケ。

帰宅後に原作を読んで驚いたのが、学校のシーンやサブの登場人物は映画オリジナルなものがとても多かった点です。それらの映画オリジナルなシーンの多くは楽しかったり見応えのあるものが多く原作との違いを面白く感じながら読めました。これは脚本家の”野木亜紀子”さんの手腕と思われるので今後注目したいし過去の作品も観てみたいと思わせるほどでした。

@morihaya
父親、ITエンジニア、ジョギング、お酒、映画、Podcastで大体構成された日々です。