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月刊読書日記 vol.29 -つまみ読書-

守宮泉
·
公開:2026/8/1

一ヵ月、本を読みながら生活している守宮の様子をお届けします。

蝉も鳴かない暑さ続きで、すっかり身体が慣れてしまいました。案外適応能力が高いのかもしれません。


月刊読書日記(7/1-7/31)

読み終えた本は4冊。読みかけの本2冊と雑誌1冊を抱えて8月へ。

何をやっていたかぼんやりとしか思い出せぬまま、7月が過ぎていく。たぶん、ほとんど暑さにやられていた。ごろごろうでうでしていて、本はつまみ読みしている日が多かった。

ヘーゲルやら世界宗教史やら、社会システムについて考えていた前半と、エンタメ小説について再考していた後半。どちらにせよ思考がとっちらかっていて、まとめられるようなものはないのだが、エンタメ小説については新たな発見――私自身について――があったので書き記しておく。

私はエンタメ小説が苦手なのだ、とずっと思っていた。だが、小中学生の頃はもりもり読んでいたことを思い出した。その頃は純文学の存在すら知らなかった。だから、"読まなくなった"と言う方が正しい。

なぜ読まなくなったのかは大体見当がつく。小さな頃はスマートフォンを持っておらず、触れられるコンテンツが少なかった。さらに言えば、辛いことの多い時期でもあったため、エンタメ小説を読むという行為に嫌な思い出が付随している、ということも考えられる。それは年々薄れていっている――と信じたい。実際、だんだんエンタメへのアンテナも敏感になってきたからだ。

つまり、目的のないインターネット徘徊を読書に置き換えることができれば、エンタメ小説を楽しむ余力が生まれるかもしれない。2026年も半年過ぎて今さらだが、この意識を持って積ん読雑誌を減らしていこうと思っている。

7月は書店に行った月でもある。

一度目は、父へのプレゼントを選びに。ついでに山素『時間跳躍式完全無劣化転送装置』と高野秀行『トルコ怪獣記』を買った。『トルコ怪獣記』は、主にクルドの人たちが暮らす地域をまわっており、とても興味深かった。知らない人々を知ることは楽しい。少し、世界が広がった気がした。

二度目は、日本橋に行ったついでに誠品書店へ。楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』を読んでから、台湾について知りたいという気持ちが強くなり、ウィキペディアなどを読みあさっていた。ちゃんと本を読もう、と思い立っての訪問。陳耀昌『フォルモサに吹く風』と米原万里『魔女の1ダース』を買った。また世界が広がっちゃうな、とわくわくしている。

三度目は、青山ブックセンターへ。名前は知っているけれど場所は知らない書店の一つだった。ロックやフュージョンのようなノリのいい音楽が流れており、ノリに乗って5冊購入。ちょっとノリすぎたかもしれない。『スピン』最終号とキム・イファン『おふとんの外は危険』、安部公房『R62号の発明・鉛の卵』と朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』、早助よう子『ジョン』である。安部公房はおすすめされていた本で、図書館になかったため書店でめぐりあうのを待っていた。朝井リョウは、「好き嫌いが分かれる」と聞いて気になった。たぶん、話を聞いている限り、私の考え方に似ている気がしていて、なんとなく避けていた。この本を見るたびに私が読む本だろうと思っていたので、満を持しての、という気持ちである。ほか、『スピン』以外は初見だ。ここで目が合った本、ということで決めた。初めて出会った本にはいつもわくわくさせられる。

人に本を選ぶことは楽しいが、自分のためだけに選ぶのはまた別の楽しみがある。この夏は読書の夏にしよう、と意気込みながらも、増えた本の収納方法を考えている。書棚の整理をせねば……。

読書会で夏目漱石『こころ』についての感情を聞いてもらったり、話題の作家が亡くなったり、友人と映画を見たりと盛りだくさんの7月。なんだかんだ楽しかった。

大きな仕事に区切りがついたので、8月、のびのびしたいなあと思っている。8月は誕生月でもある。先の大戦に思いを馳せながら、毎日を楽しく過ごせるようにしたいな。

追記

ふと、本棚を見ていて気づいたこと。私はかなり人に勧められた本や人に贈ってもらった本を読むことが多い。その本を読むと、その人のことを思い出す。本が思い出を再生するためのものになっている。自分で選んだ本も好きだけれど、記憶に直結する本はなかなか捨てられない。エンタメにせよ、純文学にせよ、それぞれの本にそれぞれの読者の思い出がある。そのことが本の価値を高めているのかもしれないな、と思った。これは映画や漫画など、その他のコンテンツにも言えることだが、私自身が本を心のよりどころとしていたため、かなりバイアスがかかっているようだ。そう考えると、すべてのものに普遍的な価値を見出せるのかもしれない。無駄なもの、必要のないものと断言できるものなど、ないのかもしれない。

@morimiya
本をよく読みます。多言語世界で生きていきたい人です。 Bluesky bsky.app/profile/moriizu.bsky.social