子供の頃、動物がいっぱい出てくる小説が好きで、そんなものばかり集めて読んでいたのを、ふと今朝の通勤路で思い出した。
椋鳩十の動物の物語、ねこのルドルフが書いたとされる『ルドルフとイッパイアッテナ』シリーズ、気高い美人ねずみのミス・ビアンカシリーズ、ねずみのガンバの冒険シリーズ、ねずみの名探偵チビーシリーズ。人間が出てくるなら1人まで、それも動植物と心通わせるやさしい人間がいい。エルマーのぼうけんシリーズ、ドクター・ドリトルシリーズ。
人間とは日頃いやでもうんと関わっているから、大好きな本の中くらいはそれ以外の生き物ばかり出てくる楽しいものがよかったんだろうと思う。人間以外の生き物はなんでもわりと好きで、いろいろなものに相手をしてもらって育った。
日ごろは道の側溝でザリガニを釣り、田んぼでおたまじゃくしをとり、小川でヤゴやめだかを捕まえて遊ぶことが多かった。夏休みはアサガオやミニトマトの栽培日誌をつけたり、ハムスターの飼育日記や透明ケースで観察したアリの巣の記録を書いたりして学校に出していた。高校に入ると犬が家族にくわわり、毎日勉強していない時間はつねに犬をかまっていたので、他のことをあまり覚えていない。
そのうち生物学者になろうと思ったのだが、なりかたがよくわからない。村上龍『13歳のハローワーク』を母が買ってくれたが、バイオ系研究の話がコラムにあるものの、どうやってそれをやる人になるのか不明なままだった。大学に行く必要がある、ということはわかったので、とにかく勉強はしていたが、大学院も博士課程まで行くことがほぼ必須であることを知ったのはけっこう後のことだ。
結局持病の悪化に伴い大学院には進学できず、いろいろな大学、企業、研究所を15年ほどうろついて今に至る。なぜか研究分野も当初と全然違うが、楽しい研究をやっている。あいかわらずヒトよりはヒトを除いた生き物のほうが仲良くやれるのだが、昔よりはヒトともつきあえている、ような気がするな。