彼女と彼女の記憶について、シャンデリア、マリーの愛の証明、そして表題作からなる短編集。シャンデリアが特に好きだったけれど、評価されているのはマリーの愛の証明と表題作のよう。
三人の女たちについて考える。ウィステリア=藤の花だとして主人公、ウィステリア、外国人講師。もしくはウィステリア=人物として主人公、外国人講師、腕の長い女。考えようによってはウィステリア=表題作と他三編の女たち、など。三人の女(たち)という響きがよくて、使いたいけれど本当によく見かけるので使い所が難しい。川上未映子はタイトルが潔い感じで好感が持てる。
クィアの扱いの悩ましさ。そこに意図があるのかないのか、テーマであるのかないのか、どうしても立ち止まってしまうなと自戒。それもあってシャンデリアが一番素直に読めたのかもしれない。