それから津村記久子の「サキの忘れもの」の一編目も。車谷長吉のある平凡も少し。綿矢りさは久しぶりだが、読みやすく面白く、しかしどう受け止めればいいのかがわからなくなった。決して悪い意味ではなく。老害若輩は迷うことなく笑えて良かった。こういう余裕みたいなものを見せつけ、ババア死ねで終わらせるのは誰にでも許されるわけでなく、著者ならではの持ち味であるのかもしれない。ただ、悪くはないがすぐに他の作品に手が伸びるかといえば悩ましくもあり。すでに手元にある「勝手に震えてろ」は読むだろうが、「パッキパキ北京」を新刊で買うかは迷っている。津村記久子ははじめて読んだ短編であるが、本と人物の関係が美しく、まったく大袈裟でないところも良かった。続く作品にも期待。原稿は先にやる予定だった二次創作ではなく秋の群像用（仮）を進めている。ひとまず初稿があがればそれはそれでよし。