齋藤小浪と矢野妃菜喜

まさぴー
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2024年3月5日、とあるネットニュースを見た

「齋藤小浪、3月いっぱいで声優を引退」

物悲しくなったと同時に、自分も少し罪悪感を感じた。まさか彼女の情報をネットニュースで知るとは

彼女はそこまでメジャーな声優ではない。同期はNewGameのがんばるぞいで一躍を築いた高田憂希。

なぜ自分は彼女のことを知っているのか。それは、大学時代にSHIROBACOカフェという、阿佐ヶ谷高架下にあったカフェの常連だったからだ。

SHIROBACOカフェとは、声優のタマゴが店員として働く、2018年くらいまであったコンカフェだ。青二プロダクションやマウスプロモーションなど、大手の声優事務所に所属する方がほとんどであった。

自分は一時期、それが声優の長久友紀さんにどハマりして、そこからここに通い出す。まさに自分の青春であった。

ここは入ってきたごとに期が分かれており、小浪ちゃんは3期生だった。ちなみに高田憂希は2期生だった。高田さんにも接客をもちろんしてもらったことはあるが、そのときはあまりちゃんと認識していなく、その数週間後に彼女はNewGameを掴み取った。

小浪ちゃんの健気な接客姿が自分は好きで、一時期は推しと言っていた。大体彼女が卒業するごろまでだ。卒業した頃にはすっかりと自分も推しと言うことはなくなるくらいに冷めてしまった。なんとも残酷なことだ。

そして、小浪ちゃんと同じ3期生で活躍していたのは、今をときめく声優、矢野妃菜喜ちゃんだ。自分も何度も彼女に接客してもらったことはある。その頃から妃菜喜ちゃんはカフェの客からはちょっと人気であった。昨今はかなりの頻度で名前を見る。

妃菜喜ちゃんの経歴は、私立恵比寿中学の元メンバーであったこともあり、アイドルのタマゴ的な部分もあった。

声優の経歴は違えど、ほぼ大体同じスタートラインっぽく見えた小浪ちゃんと妃菜喜ちゃん。しかしそこから10年経った今、2人の声優としての差は大きく開いてしまった。

SHIROBACOカフェは今振り返ると、本当に声優のタマゴが揃っていて、なんともそれが素敵でもあり、残酷な世界でもあるのだと思った。

声優を廃業する者もいれば、声優を地道に続けている者もいれば、大活躍している者もいる。ある先輩が後輩の新人の子に、手厳しく接客の指導をしていたが、その子が数ヶ月に突然辞めてブシロードで大活躍していたり、途中までいい感じに売れっ子路線に乗るかと思えば、その後の活躍はあまりぱっとしない方もいる。

声優業界というのは努力だけでなんとかなる者ではなく、本当に強烈な運がものを言う世界なのだなと、そのカフェから離れて10年が経ち強く思わされる(もう閉店してる)。みんな上手いのは当たり前。そこから一線超えて、どれだけチャンスを掴めるか、最近の声優を見てほんと思う。新しい声優なんて次から次へと出てくる。そこからちゃんと波に乗って、高橋李依のような売れっ子路線に乗るなんてどれほど過酷闘いなのか。

小浪ちゃんに関しては、残念と思うと同時に残念と思う自分もあまりよくないなとは思う。しかし、彼女はまだまだ先が長い。ここで逆に区切りをつければ新たなステージで活躍なんて十分できる。

そんな大学時代と今を比較に思いをふける、令和6年年度末であった