観劇感想 魔女エステリーゼの事件簿 劇団ココア

まさぴー
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注意

アンケートフォームがなかったため、とりあえずブログ的なところで書きます。あまりいい感想が載っていない可能性があるため、もし出演者の方がこの記事を読もうとしている場合は、不快に思われることがあるかもしれないため、ご注意ください。

感想

よく言えばみんな楽しそうに劇をやっていた、批判的に言うと、全体的に学生演劇レベル。学生演劇であれば、全然このレベルのお芝居は面白かったねと褒められるが、観客から金銭を要求するのであれば、このクオリティだとこの金額ではなかなかに厳しいものがあるなと思った。

舞台美術

パネルをただ立てただけだったので、舞台の平面感が強かった。劇場の構造を見る限り、タッパは広そうだったにもかかわらず、その3分の1程度しか使われていなさそうだった。小劇場の中では広いのにもかかわらず、それだけしか使わないのは非常に勿体無いなと思った。舞台裏に多数のキャストがいるせいなのか?

全ての芝居がその平面上でしか行われていなかったため、奥行きや臨場感が感じられなかった。高さも特に段差などないため、ほんとに平面的だった。学生演劇にありがちな、上手から下手、下手から上手にしか移動しない、奥がまったくない舞台。

別に派手にすればいいと言っているわけではない。脚本と予算の丈にあったクオリティの舞台美術をちゃんと出してほしかった。

音響

BGMが、フリー音源集から持ってきた感じがとても感じられた。ちょっとそのせいでなんというか、わざとらしく感じた。ちゃっちく感じた。

そして、スピーカーが2つあったように見えたが、上手からしか聴こえなかった。そのせいで音響が全く臨場感が感じられなかった。一部の効果音も、上手側から聴こえるせいで、違う人に当てた効果音かと思ってしまった。

芝居

ほとんどのキャストの演技が、頑張っている感じはヒシヒシと伝わった。しかし、上手いとは思えなかった。

叫びがうるさすぎた。劇場MOMOにあっていなかった。あれだけ客席と舞台が近いと、普通に喋っていても聞こえる。それが大声を出すとすごくうるさく感じる。2~3回程度であれば、効果的でいいと思うが、何度も何度も至近距離で叫ばれると、うるさくて仕方がない。叫ばなくても、音圧は出すことはできる。舞台に慣れていらっしゃる方は、うまく声量を抑えつつ迫力をだしていた。

全体的におふざけが多いかった。おふざけが入ると、舞台が一瞬覚めてしまう。それを効果的に使うのもありだが、かなり多数のところでおふざけをしているところを見ると、芝居がぶつ切りになってしまう。このおふざけ感が、非常に舞台をチープに加速させてしまった。舞台に関係のあるおふざけであれば世界観の一部だからOKだが、関係ないものは物語の世界観を破壊させてしまう。その点が、舞台に対する真剣さが感じられなかった。

悪役の方の表現が、大声で叫ぶだけで悪役感を出していて、体はひょろひょろであったので、怖さを感じられなかった。なので、彼らしい悪役っぽさをうまく演出してあげてほしかった。例えば衣装をもっと重厚感を出させるなど。

どうやら、「魔女エステリーゼの事件簿」というのは色々と何作かやっているようなので、自分は初見であったのだが、「魔女」という設定なので魔法を使うものだと思っていたら最後まで別に魔法は出てこなく、席に置かれたパンフレットを見ると、「魔女」と言うものが比喩であったことがわかった。それを劇中でわかりやすく説明してほしかった。

自分が年齢のせいもあるかもしれないが、キャストが大多数かつ似たような衣装を着ている方が何人もいたので、この人だれだっけとなることが多々あった。

暗転は1回につき舞台がぶつ切りになることを理解してほしい。場転が起こるたびに、客は流れをリセットして明かりがついた途端にまた舞台の理解をしなければならない。

演技のレベルも、いくらか舞台の数を踏んでいるであろう方達はちゃんとしてたが、ほとんどの方がまだまだ伸び代がありそうな感じがした。

横スクロールのRPGみたいな舞台であった。

最後に

繰り返しになるが、これが別に大学生が無料公演を行なっているものであれば、上出来だねって言ってあげてもいい感じの公演だった。

なぜ厳しく書いているかと言うと、昨今の演劇のチケット代の高騰がある。

自分も学生時代の頃は高くて5000円くらいだったが、昨今は平均で5000円のお芝居が増えている。

高騰は仕方ないとは考えるところもある。けれど、そのくらいのお金を客からいただく覚悟が、果たして劇団側にあるのかというのは気になってしまう。劇団側は常に赤字であることは重々承知である。なので、物販を利用してあの手この手で収益を増やそうと試みているのも知っている。ただ、客から5000円もの大金をいただいている事実は変わらない(今回の舞台の場合は4500円、S席7000円)。それだけの大金を客から徴収しているという覚悟は主催側がちゃんともってほしい。

チェキなど、推し活を利用して収益をあげるのも、手法としては全然アリだと思う。若手の可愛い、かっこいい役者さんであれば、ファンの方はいくらでも課金してくださると思う。しかし、それが主目的でなく、あくまでお芝居が面白かった上でのお布施であると考えてほしいなと思う。あくまで真剣に芝居で勝負してほしい。お金を取る以上、役者が楽しければそれでいいでは客は満足しない。ファンであれば満足はしてくれる。

基本、ファンというのは、何をしても褒めてくれる存在であるということは理解してもらいたい。推しがカッコ良ければ、可愛ければそれだけで大満足なのである。しかし、もし本気でこの先役者としてやっていくのであれば、真剣な批評を聞けないのはかえって残酷だなとも思う。

昨今の演劇事情も踏まえての批評でした。

アンケートがどこを見ても、また感想を寄せるところもSNS以外なかったので、ここに書き連ねてみました。見て不快になられた関係者の方がいたら、ごめんなさい。でもどうしても書かずにはいられなく書いてみました。