ねこたちが夜明け前の景色を眺めている。ここは見晴らしがいいから眺めるだけでもきっと楽しいだろう。時折気まぐれに甘えた声を上げてはかまわれようとやって来る。黒猫が来ると必ず子猫が後を追う。寄せては返すねこの波。
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子猫とはいってもそろそろ生後半年になる。人間でいうと十歳になるかならないかくらいかな。不妊手術が目前に迫っている。うちにやって来たときは片手で持ち上げられるほどだったのに、子猫って本当にミーミーと鳴くんだと思ったのに、時間が経つのは本当に早いね。
今度の十日で初代を見送ってから一年になる。あのときは恐れていた日が来てしまった、としばらく泣き暮らした。リビングからあの子の気配がしないことに怯えた。それでも三月の半ばというのは草花の芽吹くのが目に見えてわかる頃で、身体が春の気配を感じ取って自然と気持ちが緩む。冬のさびしいさなかに置いていかれなかったことに感謝した。
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今日はこちらでも気温が零度になろうかというほど寒い。年々気温差とか暑さとか寒の戻りとかが劇烈になっていく気がする。自分の親も昔そんなことを言っていたな。気候は厳しくなり人口は減る。ヒトという生きものの夕暮れ時。