10時半にパートナーの最寄駅に到着し、迎えにきてくれたパートナーとひっしと抱き合った(たった一週間ぶり)。パートナーは仕事のあまりの忙しさ&きつさに、もう三週間くらい経った気がする、と言っていた。
そのまま駅前のスーパーに買い出しへ。食べたいものを相談しながらぽいぽいとかごに入れて行く。「これをこう調理して食べたい」「我が家ではこれをこんなふうにして食べていた」といった話を聞くと、それぞれの家庭で違うものを食べてきたのだな、ということがくっきりしておもしろい。
お昼はパートナーが、長谷川あかりさんレシピの豆腐そうめんを作ってくれた。ハンドブレンダーが家にあることを忘れていたひと、手作業で一生懸命いつもの二倍の豆腐をつぶしていた。全部お任せして、わたしはキッチンのこちら側で、パートナーが動いているようすを見たり、頬杖をついておしゃべりしたりした。作ってもらった豆腐そうめん、すごく好みの料理だった。やさしい味で、豆腐に塩とオリーブオイルの組み合わせがもともと好きなので、めいっぱい豆腐の風味とおいしさを味わった。このために、賞味期限の短そうな、袋に入ったおいしそうな豆腐を買った甲斐があった。最近ずっと「おいしい豆腐が食べたい……」とうずうずしていたのが大分満たされた。
食後は冷やしたクラフトビールで乾杯。パートナーは九州・ひでじビールの日向夏、わたしはBREWDOGのNEIPA。日向夏はかろやかで、香りだけでなんだかうれしく、陽気になってしまう。「HAPPY」とアルファベットで表記したくなるような感覚で、浮力で気分がふわっと宙に浮いていくような、不思議なパワーがあった。BREWDOGは有名すぎて飲んだことがなかったが、トロピカルなのもたまにはいいよね(普段は選ばない)、と買ってみた。ヘイジーなビールがいつだって好き、というのも決め手。味わい自体が豊かで香りも甘く刺激的、苦味に丸みがあって、おいしかった。有名どころってちゃんとおいしくてすごい。
2時半起きの移動で疲れていたので、横になって目をつぶったり、ギターを弾くのを聴いたり自分も触らせてもらったり、ベッドで本を読んだりと、だらだらゆるゆる過ごした。寝転がってイ・スラ『29歳、今日から私が家長です。』を読んでいたら、背後のパートナーが「読みやすいように持ってくれてありがとう」と言ってきてびっくりした。自分が読みやすい角度で持っていたら、後ろからパートナーも読んでいたらしい。「登場する人がみんなラブリーなんだよ!」と解説したり、くすくす笑ったりしながら最後まで読んでしまった。いつの間にかパートナーと長めのお昼寝をしていた。
夜は、鰹とおくらの山かけ丼、トマトと叩ききゅうり、ししとうを焼いたものを二人で作って食べた。おくらの萼のまわりをくるりと剥いて板ずりしたり、きゅうりを「気が向いたから」叩いてみたりと、こういうときって何となくいつもよりも手間をかけてみようと思うもの(不慣れなのに)。山かけ丼は食べたことがなくイメージが湧かなかったので、よく食べていたというパートナーに任せて、他のおかずを簡単に作った。パートナーがごはんを炊き、長芋を擦り、鰹を切ってたれに漬け込んでくれる間に、おくらを下拵えして茹で、明日以降の分は残して切り、トマトときゅうりを切って塩・砂糖・酢・醤油・白胡麻で適当に和えて冷蔵庫で冷やし、ししとうをごま油とともにフライパンに入れて蓋をして火にかけた(超簡単!)。狭いキッチンを駆使して二人でごはんを作るの、パズルみたいで楽しい。パートナーがほかほかのごはんをどんぶりに盛って、きれいにとろろ・鰹・おくらを配置してくれた。ぜんぶ机に並べ、互いのやった作業に感謝を述べつつ、二人でおいしく楽しく食べた。パートナーがとっておきの人吉の米焼酎を出してきて、氷をグラスにたっぷり入れて注ぐ。熊本の米焼酎には、焼酎と聞いてイメージするような癖はなく、すっと飲める。そして何より香りがすばらしい。種まで甘いししとうをあてに、ちびちび飲んだ。
熊本滞在一日め、ゆったりとしたいい日だった。