夕食を食べながらパートナーと電話を始め、なんだかんだ日付が変わるまでしゃべっていた。話が盛り上がって楽しかった。もうあと数日で会えると思うとわくわくする。
パートナーとはいろんな話をしたのだが、事実婚についての議論がまた一歩深まった。先日会社の方々とご一緒したとき、「事実婚だと、もしものときに面会ができないとかあるからね」と言われたのがボディーブローのように効いてきたらしい。それもすっかり織り込み済みで事実婚を希望しているのだと思っていたので、改めてパートナーの中ではその点がしっかり繋がっていなかったことを再認識。以前、レズビアンのおふたりのファミリーシップについてお話を伺うイベントがあり、その際パートナーも来てくれたのだが、そのときに伺った困難と同じだということにやっと気づいたらしい。法律婚はお得なパッケージになっているのだが、事実婚は「万が一」のときにより脆弱になる可能性が高い。それを避けるには、公正証書を作成する必要があるが、それには手間も時間もお金もかかる。その流れで、配偶者控除や医療費控除など、税制上の優遇が受けられないことも思い出す。社会保険上は扶養に入れたりするみたいだけど。だいたいの概要は分かっているかなと思っていろいろ議論していたので、いったんわたしも含めて勉強して、「だいたいの概要」という前提のすり合わせをしておいたほうがいいかもしれないなあ。
婚姻制度以外でパートナーシップを保障される方法が現時点では少ないこの社会。わたしたちはひとまず事実婚を検討しているが、その保障の範囲の狭さよ。法律婚に比べると、法律や制度による保障から締め出される部分はどうしてもある。さらに、法制度だけではなく、会社の福利厚生制度の対象に含まれないこともある。パートナーに確認したところ、パートナーの会社の社内制度でも、そもそも「事実婚」が想定されていない(つまりもちろん、パートナーシップ宣誓制度を利用しているひとも想定されていないということだ)制度設計になっているらしい。(パートナーの会社基準になるのは、わたしの職場には福利厚生がないからです。)今の友人との共同生活は期間限定なので、その後の生活のことは何も決めておらず、熊本で同居するのも一つの選択肢かなとここ最近思いはじめたため、ついでのように「社内制度ってどうなってるの?」と訊いてみた。そうしたらなんとびっくり、事実婚関係の人たちは法律婚の人たちと同様には扱われないらしい!分かりやすく損!!何の保障も用意されていないとのこと。「そう(=わたしが熊本に行って住民票を移し、実質的に事実婚の届出をする)なったら労組で春闘のときにでもゴリ押しするよ」と言っていたので、「もしかしたら来年あたりには熊本に行くかもしれないから、今のうちにやっておいてよ〜!いざ熊本行って『制度がありません、これから交渉します』じゃ困るよ!!」と念を押しておいた。困るので。あと(クローゼットである可能性含め)すでに困っている人もいるかもしれないので。事実婚やパートナーシップ・ファミリーシップ制度が法律婚と同等に扱われるように、みんなそれぞれの場所でささやかな改革や運動をやっていこうね。そこにいるひとにしかできないことがあるから。
その流れで、もし転勤が決まった時点で法律婚をしていたら単身赴任手当が出ていたらしい、という話に「えーっ!」と盛り上がった。過去のないif、全然想像しなかったことだからこそ、改めて検討するとおもしろい。さすがに交際半年で「転勤になった。単身赴任手当が出るから結婚しよう」とは言えなかったらしい。そりゃあそう。当時の大荒れの状況では、そんなこと考えもつかなかった。パートナーのご家族やご親族が同居に大反対で大揉め、わたしも経済的に不自由していたのでパートナーに寄りかかるかたちで生計を一にするには引け目があった。そんな状況では、なんとかパートナーシップを続けるのが精一杯で、二人の頭に法律婚なんて選択肢は浮かばない。「こっちのほうがお得だから法律婚を選ぼう」なんて言える状況ではなかったのだ。今はそれからだいぶ時間も経って、わたしの経済状況も落ち着き、同居を反対された遠因(ということにしておこう)である親のもとを離れて暮らすようになったので、やっと外因に振り回されずに、二人の関係のことだけを見て事実婚や法律婚の選択肢を考えられるようになった、というわけだ。それにしても、法律婚ってめっちゃお得なんだなあ。会社から手当出すぎである。すごいや……。ただし、今になって法律婚をしたとしてもその単身赴任手当は出ないらしいので、どちらにせよ法律婚はしません。独身寮扱いで家賃負担がかなり少ない現状は、なんだかんだお得らしい。熊本で同居するとなると、独身寮扱いではなくなって会社からの家賃補助がなくなるため、パートナーの住居費負担は数万増え、関東住みのわたしの住居費負担は数万減る。ほかに行き来する飛行機代や宿泊費もかかっているので、それがなくなるとなると総合的に二人の金銭的負担が減る気がするけれど、そのへんの計算をするのも追々かな。なによりも、いまだパートナーのご家族からの反対はなくなっていないから、既成事実を作るように同居を始めるのも気が引けてしまう。ものごとにはただしい時間をかけなくてはいけないからね。まだしばらくいろいろ考えます。
勢いが足りない二人、たぶんこんな感じでずっと考えている。子のいる生活を選ぶかどうかもまだ考えあぐねているし……。決めないまま時だけが経ちそうである。いざとなったら本気でやるしかない。