またまたご無沙汰しておりました。親知らずを抜歯してから、歯の痛みと付き合いつつ、仕事の月一会議&イベントに追われ、間に三連休を満喫していた…… ので日記を書く気になれなかった。日記を読むのも書くのも好きなのに、続けるのって本当にむずかしい。日記を書けるだけの平静がない。
昨日かなり大きめのイベントを終え、ひさしぶりに懇親会まで出てビールをがぶがぶ飲んだため、今朝は思いきり寝坊した。仕事もやる気が出なかったので、銀行を回って払込などをしただけで、あとは眠気と身体の震えのままにでかい机の上にでろーんと伸びていた。
とはいっても、朝はとってもいい気分だった。涼しかったからだろうか。特段理由もなしに、「生きるっていいなあ」と思える日がある。込み上げるように。このまま飛んでいっちゃうんじゃないか、という胸のうちの軽さ、あるいは上向きの浮力。スキップくらいにとどめておく。
昨晩は酔いもまわって眠かったせいで、軽く水浴びするだけで寝てしまったので、朝はしっかりめにシャワーを浴びた。中深煎りのコーヒーを目分量で淹れたらおいしかった。同居している友達がわたし用にと買ってきてくれたもの。「カンヨブ農園」というシンプルなラベルシールが貼ってある。ナッティな香りとさっぱりした後に残らない苦味、まるい甘み、果実味のある酸味。こういうおいしさもあるのかと、めちゃくちゃな深煎り(真っ黒)だけを好んで飲んでいた母のもとで毎日コーヒーを淹れていたわたしは、コーヒーを淹れるたびにその香りと味に歓声をあげている。むいてあったりんごもさくさくいただいた。今日はらくな格好がよかったので、ミントグリーンのもっちりとしたTシャツにデニム。お弁当の用意をして、昨日持ち帰ってきたPCを持って、出勤した。
だいぶ遅めに家を出たので(ここに越してきてからいちばん遅かった)、いつもは見かけないちいさな子どもたちと多く遭遇して「ああ、遅い時間だからか」と納得するなど。はじめから電車の座席に座ることができたので、車窓に流れてゆく景色を見ながらヘッドフォンで音楽を聴いていた。
Talking Headsの映画を観てから最終的にKing Crimsonが聴きたくなってしまい(ツッコミどころです)、1982年のライブアルバムの『SHELTERING SKIES』をきちんと聴いた。いつも流し聞きしてしまうので、たまに集中して聴くと楽しい。最初はあんなに変だなあと思っていたのに(わたしのプログレッシブ・ロックとの接近はエクスペリメンタル・ロックバンドBattlesの「Fort Green Park」がきっかけだ)、すっかり楽しんで踊れるまでになってしまった。King Crimsonはオタクのみなさんがたいへんたのしそうにしてらっしゃるので、ああいいなあ、と思う。インターネットには、いにしえのブログやサイトが多数散在している。何かに熱烈に入れ込んでいるギーク特有の「あの感じ」が好きなので、そういうものをたくさん読みたい。サイトにあるバンドのトリビアページとか。……ああそうか、だからわたしはたまに鉄オタのブログとか読んじゃう日があるのかもしれない。
仕事終わりに歯医者に寄って、抜糸してきた。ちょっと痛かったがあっという間だったし200円だった。200円。反対側の親知らずは1ヶ月以上空けないといけないらしく、さっさと来月抜くつもりでいたわたしは拍子抜けだった。11月くらいになりそうだ。まだ違和感と痛みはあるけれど軽いものだし、経過は良好だそう。もうしばらくだ。
一週間ほど歯の痛みに耐えたご褒美にと、駅近くの和菓子屋さんに立ち寄った。通っていた大学の東門の隣が本店なので、なんとなく馴染みのある和菓子屋さん。毎朝通るので、サブリミナル的に「和菓子食べたいなあ……」と思っていた。十五夜の月見まんじゅう、お彼岸のおはぎなど、期間限定の和菓子の貼り紙を見るものの、朝の人波で立ち止まることもできずに、遠ざかっていく店を振り向きつつ歩き続けていた。ちゃんと調べたら営業時間は18時半までだったので、帰りにも寄れるのかと嬉しくなって、ゆっくりした足取りでお店に向かった。店先に出ていた山あけびとかぼちゃ饅頭を購入。同居している友人が羊羹が好きだと言うので、お店を見回して見つけた栗の羊羹も。買った後、「ご試食どうぞ、もう閉店時間だからもう一つどうぞ」と二つもいただいたあずま饅頭がおいしかったので、同じかたちの栗の子饅頭も合わせて追加してもらう。秋の和菓子を買って、ふくふくとした気持ちを抱えて電車に乗って帰ってきた。和菓子って季節を感じられるからか、とってもうれしくなる。早すぎたり、遅すぎたりしない、たしかな歩み。季節のうつろい。焦りすぎたり、退屈すぎたりするときには、こういう季節のものが「今」に引き戻してくれるのかも。
帰ってきて即夕飯作り。キッチンを自由に使えるよろこび、噛み締めるどころか口から溢れ出てしまって、にこにこしながら「はあ、しあわせー!」と毎日言っている。今日は、
さつまいも、しめじ、玉ねぎ、おあげさんのお味噌汁(鰹だし)
十穀米
切り干し大根とわかめの黒酢の酢の物
なすのとろとろ煮
でした。お味噌汁はレシピを見たら「鰹だしでもあごだしでも」とのことだったので、いつもの昆布だし(ヴィーガンなので昆布だしばかり使う)ではなく鰹だしを使ってみた。最近はちゃんとレシピを見て作ることで、自分では到達しえない味に辿り着くのを楽しんでいます。ほっくりしたさつまいもと玉ねぎの甘みが合っていて、さらにおあげさんの油分がちょうど風味をよくしてくれて、非常においしかった。お気に入りのお味噌汁になりそう!お味噌汁ってらくちんで最高だ。なすは皮を剥いて切って、とろみをつけて酒と塩で煮ただけ。レシピに加えて生姜もいれてみたが目立ちすぎず大正解だったし、ごま油のやさしい香りがおいしかった。いつもこのレシピは日本酒の味が消えなくて謎だな、と思うが……。同居している友人が気に入ってくれたのでよかった。季節の野菜を使ってごはんを作って食べると、とても元気が出るなあ。すっごくおいしくて大満足だった。和菓子が待っていたので、いつもより品数は少なめにした。
お皿を洗ってもらっている間にほうじ茶を淹れて和菓子を準備した。山あけびとかぼちゃ饅頭を半分こして食べた。
(写真:水槽ちゃん)
山あけびは、中に栗、粒餡、ういろうが入ったおまんじゅう。ほっくりした大きな栗がうれしく、目にも楽しく、すっかり秋の気分になった。続いて食べたかぼちゃ饅頭は、ぽってりとまんまるのかたちもかわいいが、断面から見た餡もしっとりとうつくしく黄金色に輝いていた。一口食べて、「なにこれ!」と叫んでしまった。めちゃくちゃおいしい。スイートポテトみたい。毎日食べたい!友人もめちゃくちゃ大きな声を出していた。二人でそのおいしさに驚けて嬉しかった。
浴槽にお湯を張って、さらにたくさんお皿を洗ってくれた友人に甘えつつ、先にお風呂に入った。パートナーが作ってくれた9月のプレイリストを流しながらゆっくりと湯船に浸かってあたたまった。
マーキントンのぬいぐるみをだっこしながらこの日記を書いた。毎日の生活がほんとうにしあわせだ。「あ、ごはんなくなったから明日炊かなきゃ」と思っていると、その明日には炊かれていたりする。自分以外のひとと一緒にいると、「全部自分でやらなきゃ回らない」にならないので、生活がずっと楽だ。ありがたし。