2024.5.25

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公開:2024/5/27

「本は港」というブックマーケットに行ってきた。土曜日の今日は、神奈川の出版社が集ってブースを出している。

「独立系書店のはじめ方」というイベントへ、友人と一緒に行った。本屋さんやってみたいながあるので、軽い気持ちで参加してみたのだが、これがまたひどいイベントだった。全7回のスクール形式の講座のキックオフとしての位置付けだったのだけど、本当に集客する気あるのかな…… と思った。講座の前座としてのキックオフイベントとしての役割を果たせておらず、講座の内容やビジョン、得られるものやサポートがどんなものなのかが、全く見えなかったこと。参加者のターゲティングがなっていなくて、どういうひとがどういう目的で来ているかを見誤り、「もう知ってるよ!」あるいは「本で読んだら分かるよ!」という話ばかりだったこと。何より、「独立系書店のはじめ方」というタイトルなのに、体感8割が「町の本屋さん」(小規模の、雑誌とかを置いている昔ながらの地域密着型の本屋さん)の話だったこと。すべてがぐちゃぐちゃで、何を聞かされているんだろう…… とはてなでいっぱいになる、つまらない時間だった。イベントの位置付け自体も、イベントの時間配分や内容や着地点などの構成も、全然かたちになっていなかった。本屋さんをやってみたいひとの背中を押すわけでもない。何だったんだろう。

「自分でやりたい」ひとって、きっと企業にとってはいいカモなんだろうなあ、と思う。企業がお金を出さなくたって、「お金を払ってでも、自分でやります」と言うんだから。しかしその「カモ」から巧くお金を巻き上げようという気も感じられずで、結局何も考えてないんだな……としか思えなかった。「いっちょ噛みしてやろう」程度だったんだろうなあ、と残念。そんなんじゃ先細りです。

以上のことは、その夜にパートナーと電話していて、深夜になってから問題点の洗い出しをして大盛り上がりしたので言語化できたもの。イベントが終わってすぐは、「なんか、うーん……」と微妙な気持ちになって会場を後にした。

出版社のブースをひとめぐりするのは楽しかった。わたしは小野寺伝助『クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書』を買った。(接客してくれたのが前述のイベントでつまらない話をしていた方だったけれど。)本の紹介が見開き2ページに収められていて、それぞれに非常に秀逸で最高なタイトルが付いている。「メイキングマイロードして、おまえはおまえの踊りをおどれ」という章タイトルが気に入り、即購入した。普段わたしは書評や本の紹介にまったく興味がないのだけれど、これは読むのが本当に楽しみ。バイブスが良い。

一通り見た後は、金木犀のコーヒーを飲んだ。スパイスコーヒーはよく家でも淹れるけれど、金木犀ははじめて!とうれしくなって頼んだ。飲んでみたら思ったより香りがして、楽しかった。

ぎゅっと本が集まっているのを見るのはやっぱり楽しい。わたしは本の中身よりも、背表紙が並んでいるのを見るのが大好きだったりする(背表紙の並びを見て感動して泣くことがある)。満足して会場を出た。

地下鉄につながる階段の入り口前でコーヒー片手に友人とたくさん話した。近況報告が主で、お互い生き延びてるね…… と讃えあった。会える機会は少ないのだが、文章を通して同志だと思っている、大事な友人。会えて言葉を交わせて、声を聞けて、とても嬉しかった。そして、友人の素敵な装いにも、大いに元気をもらった。

誕生日プレゼントも渡してくれて、嬉しかった。クッキーと有機の紅茶、『魔女たちのアフタヌーンティー』という文庫本をくれた。わたしにぴったり!

馬車道はなかなか来ない場所なので、せっかくならどこかでお茶でもしたい、と思っていた。友人はブックマーケットの後はすぐに帰ると聞いていたので、本を読みながらお茶ができそうなお店を別の友人に尋ねたところ、元町のおいしそうなタルト屋さんを教えてもらった。どうせなら一緒に行きたい!となってその友人を誘ったら快諾してくれたので、すこし電車で移動して合流。「着いた」と連絡したら同じ電車に乗っていたみたいで、待ち合わせする前にエスカレーターで会えた。

石畳の商店街を歩いて、タルト屋さんに向かう。一本道を入ると、見えてきたのはとっても素敵なロゴのお店。ラストオーダーぎりぎりだったが、席に着いて注文できた。2種類を組み合わせて注文できるということで、わたしはバナナといちじくのタルトと、チョコレートキャラメルチーズタルトを。そして紅茶はマルコポーロだと書いてあり、やった!とよろこんで頼んだ。

チョコレートキャラメルチーズタルトと、バナナといちじくのタルトに、バニラアイスとクリームが添えられている。紅茶のティーカップとポット。

つやつやのタルトに、バニラアイスとクリームが添えられていた。マルコポーロはポットサービス。すこし渋くぬるかったけれど、まあよし……(熱い紅茶が大好きなのだ)。バナナといちじくのタルトは、バナナが甘さよりもビターな苦味のためにあり、そこにいちじくのやわらかい甘味とぷちぷちした食感を加えていて、意外でわあっと歓声をあげてしまうほど美味しかった!タルト生地も固すぎず、さっくりしっとりしていて、ものすごく良い。チョコレートキャラメルチーズは、「これが食べたかったんだよ……」とちょっと泣きたくなる美味しさ。これにやわらかく溶けてゆくバニラアイスとクリームをつけて食べるのが最高だった。

話しつつ食べていたらあっという間に閉店時間。駅まで歩いて、「まだ帰りたくない……」と言ったら、「海が見える公園があるよ!」ということで、山下公園へ。ハマフェスなるものが開催されており、テント屋台がたくさん並び、クリスタル・ケイのパフォーマンスに人が集まっていた。みんなノリノリで踊っていて、それがとても可愛かった。にこにこビールを飲むひとや、楽しそうに踊っているひとを見ると、うれしいね。

人混みを抜けていくと、突然目の前に薔薇のガーデンが現れた。びっくりして嬉しくて、大はしゃぎしてしまった(ほんとのほんとの大はしゃぎ)!偶然ってとびきりだ。

整然と品種を見せるように並んで植えられるのではなく、他の植物とも組み合わせながら植えられていて、それがとても良かった。

色とりどりの薔薇や他の話が左右に植えられた小径を歩く、三つ編みの人。

あふれんばかりに咲く花々のあいだの小径をゆっくりと歩いた。わたしはもうずっとうれしくて、くるくるとあたりを見渡したり、飛び跳ねてよろこんだり、好きな花に駆け寄ったりと、それはもう生き生きしていた。友人は、大はしゃぎするわたしをにこにこ見てくれ、一緒によろこんでくれた。

ガーデンを縦横無尽にひとめぐりして、夕暮れの海を眺めて、「海だー!」と言って、引き返した。

そろそろ帰ろうかと思ったら、友人は夕食を食べるつもりだったとのことで、パートナーとの電話の約束を気にしつつ、食べたい気持ちにあらがわずに、中華街に向かった。お粥のお店と迷って、台湾の素食が食べられるというお店へ。

お店に入ったら誰もおらず、「これは知らないと入りにくいよね」と話していた。素食とは、ベジタリアン向けの料理のことらしい。お肉の入っていない麻婆豆腐、野菜餃子、素ラーメンを頼んで、楽しみに待つ。19時半ラストオーダーね、と言われて時計を見たら19:31だった。ギリギリ過ぎてる。そうしたら後から一組入ってきて、席に通され、同じように19時半ラストオーダーと伝えられていた。内心(ね、過ぎちゃってたよね……)と思っていたら、後から続々お客さんが入ってきて、5テーブルが満席に。ここまで、たったの10分。そしてさらに2組来て、1組は帰って、1組はお店の前で待つことに。ラストオーダー過ぎているし、閉店まであと30分だけど、いいらしい。一気に賑やかになった店内で、もりもりと食べた。ひさしぶりに麻婆豆腐を食べて、「やっぱ豆腐って最高!」の気持ちだった。茹でられた野菜餃子は香りが複雑で満足感があったし、素ラーメンには10種類以上具材がのっていて、シンプルな味に懐かしさを感じて嬉しくなった。

ちょうどよくお腹がいっぱいになって、すっかり暖まってお店を出た。友人と腕を組んで駅まで歩く。同じ方向の電車に乗って、途中で別れた。

最寄駅に着いてすぐ、パートナーと電話した。最初は二人とも眠たくなりながらのんびり話していたのだが、イベントの感想からギアが入って、大盛り上がりの楽しい議論をし、ひと汗かいた気持ちになった。2時になっていた。目を開けたくなくて、電話を繋いだまま眠った。