2024.5.6

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公開:2024/5/6

朝起きたら風が強かった。

熊本に住むパートナーとほぼ2か月ぶりに三日を過ごし、昨日の夕方見送った。帰ってからは、寂しくてと言えばかわいらしいかもしれないが、実際にはあまり判別のつかない感情で、ベッドのなかでぼろぼろ泣いた。わたしは離れて暮らしていること、たまにしか会えないことを寂しいとは感じないし、それぞれの生活、やりたいこと、ありたい姿を考えても、寂しいと思ってはいけない、と思っている節がある。寂しくて泣いたというよりは、ひさしぶりにパートナーに会って、肌の匂いを嗅ぎ、腕を組んで、背中をさすって過ごしたことがしあわせで、ああ大好きだなあ、と泣いていたような気がする。ある人間のことが好きだという気持ちだけで涙が出るなんて、わたしのたましいは本当に美しいと思う。そこに「寂しくて泣く」隙などない。

誕生日プレゼントにもらったふわふわのぬいぐるみを抱きながら、ほんとうにぼろぼろとしゃくりあげて泣いたおかげで、鏡のなかのじぶんのまぶたはぷっくりとしていた。入浴して、洗面台に立つまで、昨晩泣いたことをすっかり忘れていた。睡眠ってすごい。それに、寂しくて泣いたわけではないから、朝のわたしはけろっとしていたのだろう。

ベッドの枕元に、青いふわふわのぬいぐるみと、オレンジ色のくまの小さいぬいぐるみがいる。背景には本棚がある。

きょうは西荻窪に行って、ずっと気になっていたアクセサリーを見ると決めていた。ゴールデンウィークのみ出店のポップアップだったので、きょうを逃すともう買えないからだ。西荻に行くなら、「湯気」で定食を食べてみたい。最近すっかり西荻には行っていないので、一人でどう過ごそうか、と考える。開店時間の11時くらいに湯気に並べばいいか、と思って家事を始めた。

散らかした服や取り込んだ服をいったんソファーやベッドの上に移動させ(普段の横着がわかる)、掃除機をかけた。シダーウッドのオイルを垂らしてクイックルワイパーをかけ、窓枠も拭いた。この前からあまり調子のよくない観葉植物を剪定した。洗濯物を取り込み、風が強いので室内に洗濯物を干した。お手洗いを掃除しようと洗剤を回しかけて、そのまま掃除し忘れて出てきた。

今日は風が強くてすーすーしそうだったので、SUSURIの小花柄のレーヴズドレスに、comm.archのリネンジャケットを着た。やっぱりリネンの服はほっとする。袖がたっぷりバルーンになっていて、色味や素材は落ち着いているが、デザインは布がたぷんと使われていて、甘くてかわいい。ベトナムのぽんぽんのついた小さな肩かけポシェット、SUIのシルバーのバレエシューズと迷ったがムーンスターのさっと履けてずんずん歩ける上履みたいなかたちのスエードのバレエシューズ。kamiori kaoriの乳白色のビーズリング、おばあちゃんの形見のパールの指輪。ピアスを買いに行くのでピアスはしなかった。

エスカレーターに乗り、自分の服装を上から撮っている。リネンの上着とワンピースの裾、紙袋が写っている。

西荻に着いて、さっそく湯気に記帳しに行き、みんなが並んでいたのでなんとなく並び、持ってきた岡野八代『ケアの倫理』を読み進める。1時間で1章しか読めなかった。ひさしぶりの読書で、前後に話しているひとがいて、名前を呼ばれるのを待つためにヘッドフォンを外していたので、文字を追うのが大変だったが、「読んだ」という達成感がある。1時間も並ばなくてもよかったんだろうけど、それだけでも並んでよかった。

今週の定食は、豚肉と茄子のチーズ焼き。わたしはヴィーガンなのでお肉を食べたくなかったが、湯気でごはんを食べることが今回ばかりは優先だったので、あきらめて食べた。

・豚肉と茄子と玉ねぎのチーズ焼き、マッシュポテト

・新生姜の炊き込みごはん

・紅大根のおしんこ

・高野豆腐とたけのこ、いんげん

・もずくにきゅうり、茗荷、ごま

・なめこ、しいたけ、青菜、三つ葉、白菜のかきたまお味噌汁

本当に湯気がほわほわ出ていて、うれしかった。新生姜の炊き込みごはんは、千切りでなく擦ってあったようで、辛みがあっておいしかった。高野豆腐もあんなふうに噛んだ瞬間にほろっと歯切れのよいものは初めて食べた。うれしい。

お盆に乗った定食。

1時間並んで20分ほどで食べ終え、目当てのお店の開店まで村田商會にカップを見に行った。

いよいよpoefuへ。Niki du Poulainのアクセサリーを見る。小さなお花が寄り集まったようなデザインのビーズのピアスが気になっていて、いろいろなかたちがあったので散々鏡の前で耳にあててみて悩む。やっとのことで、わたしの雰囲気にも真鍮が合うだろうと真鍮のほう、そして買いたいと思っていたものよりも大きくないものを買った。これはあとで家族から誕生日プレゼントとして換算してもらう(請求制)。

1階がポップアップ、2階は服を置いていて、2階もじっくり見た。店員さんがいろいろ話して教えてくれて、うれしかった。熊本のRe;liもご存じだった。poefuになぜ前から来たかったのか、品揃えを見て思い出した。Kavalがあったのだ!夏のパンツの素材も色も、涼やかでとても素敵。これでサイズさえ合えば買ってたな……。でもXSは熊本でしか買えないので、Kavalは熊本で買います。黒のパンツには陶器のつやっとひかるボタンがついていて、それがあまりにもかわいくて目尻が下がった。欲しいがサイズがないので諦めもつくというもの。見たかった服がたくさん揃えてあったので、うれしくいろいろと見た。

その後は、夜の約束の時間になるまで暇だったので、本屋さんに行った。絵本がたくさん置いてある本屋さんで、すてきな色鉛筆のイラストの原画展もやっていた。入り口はいってすぐの目の前の棚に、パレスチナやフェミニズムについての書籍が置いてあり、とてもうれしく、安心して店内をぐるりと見た。何周もまわりじっくり見て、文庫本を買おうか迷ったが、積読が過ぎってやめた。本屋さんは一人でうんうん悩めるからいい。

ふと見つけて入った喫茶室で、和紅茶を頼んだ。宮崎のみなみさやかは、梔子と桃の華やかな甘い香りで、とてもうれしい。ティーコゼーも保温性重視でしっかりしていて、茶葉はきちんと抜いて別のポットにサーブしてあり、ティーカップはとびきり小さい。内装は本当に本当に「なし」だったが、紅茶が美味しかったので、そのことはできるだけはやく忘れようと努めた。

さっそく買ったピアスを付けてみた。かわいくてうれしい!

小さな白いビーズが編んであり、小花が集まったようなデザインの真鍮ピアスを、片耳につけている写真。

紅茶を飲みながら、ポストカードを恋人に宛てて書いた。蔵前の本屋さんで買った、可愛い猫と本棚のイラストのもの。三日間一緒に過ごしてとてもしあわせだったことを書いた。いちどポストカードを書くと、ああ足りないな、と思う。手紙を書きたくなる。何も言わずにカードを送ったら、パートナーがポストの中身をきちんと見ずにあやまって捨ててしまったことがあり、とても残念そうにしていたので、それ以来、手紙を書き送るときには一報入れるようにしている。

夜は3歳の頃から知っている幼馴染と、行きたかった焼き鳥のお店に行って、もりもり食べてうれしかった。二軒目はバーと迷ってトリキに行った。

帰ってきたら、昼間インド菜食ごはんを作っていただけあって、スパイスのいい香りがした。スパイスの香りって、なんでこんなにおなかがすくんだろう。

帰り道、寂しいんだか、仕事がいやなのか、よく分からずちょっと嫌な気持ちになったけれど、文章を書いていたら落ち着いた。じぶんを落ち着けるために、たくさん文章を書いていけばいいのかもしれない。おやすみ。