土曜日なのに、どうも眠くて目が開かない。でも起きねば。今日はコロとぬいぐるみをつくった。私はつい「いいものを完成させること」をゴールとしてそのためのサポートをと考えてしまうのだけど、コロにとってはその過程こそが大事で楽しいものなのだなと、はっとする瞬間があった。その時間が楽しいものであることが大事なんだ。
私自身、久しぶりに針と糸と布を持って感じたのは、とても楽しいということだった。私も自分のぬいぐるみをつくりたい。ずっと思っていることなのけど、やっぱりつくりたい。
そう考えたときに、私は、数日前に決心したワークショップへの参加が果たして(自分にとって)正しい決断だったのか、迷う気持ちが少し生まれてきた。時間もお金も有限で、しかも今の私はどちらもごくごく少ししかもっていないのに、数日間を費やし、安くない受講料を支払って参加する必要がどうしても絶対にあるのか。その時間、家にいてぬいぐるみをつくるのでも、得るものは十二分にあるのではないのか。私はあれもこれもしたいことを手放せないままで、これから先どうやっていけばいいのか。……。朝見た督促状のことも思い出し、気持ちが暗くなりかけるが、今はコロといる時間だったと思い出し我に返る。
午後はゲームをした。あるおもちゃでボールを飛ばし、その飛距離を争う。ボールの到着地点をシールでマークする。私は黄色のシール、コロは水色のシール。帰る時間を踏まえ、「黄色のシールを全部使いきったら試合終了ね」と私はコロに言った。すると途中から、コロがそのシールがなくなろうとしている状態を隠そうと“工作”をしだした。私はそれにまったく気がつかずゲームを続けていたのだけど、ある時点で黄色のシールがなくなったことをごまかしきれなくなったところでその“工作”が発覚した。
その一連が、私はおかしくておかしくてたまらなかった。さらにコロが「子どもの浅知恵で」みたいなことを自ら言い出すものだから、久しぶりに涙が出るほど笑った。同時に、子どもならではの思考のめぐらせようとその実践に、小さいながらにすでに意志と実行の力を備えていることに敬服した。
私も子どもの頃、いとこの家に遊びに行ったとき、迎えに来た親が「帰るよ」と言い出す時間を少しでも引き延ばしたくて細かい“工作”をした。でも自分で覚えているのはコロよりもう少し大きくなってからのことだ。こんな小さいときから、こんなにいろんなことを考え、いろんなことを実践しているものなのか。
コロは家に帰れば犬も待っているし、楽しいことも(そしてしんどいことも)たくさんある。家でも私との時間を惜しむ、というようなことはないだろう。要は、今目の前で楽しいこの時間から離れる、その瞬間がつらいのだ。その気持ちは本当によくわかる。私がかつてそれを感じていたように、コロも私とのこの時間がもっと続くようにと、今この瞬間は思ってくれているのだろう。その切実さを大事にしたい。
ゲームは最終的に、コロが自己最高記録を大きく塗り替えて優勝した。貼りっぱなしになっていたシールの先頭は水色ばかりだ。そのシールの群れを、あの時間ごとずっととっておけたらいいのにと思う。夜になってその場所の写真を撮ったけど、その感覚を切り取ることはできなかった。自分の影も写り込んでしまったし。
(こないだ書いたように、コロとの時間を公開する日記に書くことは原則的に保留にしているけど、今日のこれはどうしてもここにも留めておきたくて、自分の心情以外はぼやかして書いた。ぼやかしてまで書くことに意味があるのかどうかはわからないし、あとでやっぱりやめておこうと思うかもだけど、「保留」にとどまらない試行はしてみようと思う。もちろん、コロの尊厳と人生の尊重が一番優先で)
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さて、夜は何をしようか。したいこと、すべきことは山ほどある。その中からどれを選ぶか……。
と、夕飯を食べる前ぐらいまではうっすら考えていた。けど、夕飯を食べてひといきついた時点で疲労がどっと押し寄せてきて、今日はちょっと何もできそうにないなと早々に断念した。でも、パレスチナ連帯のネットプリント情報は更新したし、こうして日記も書けているし、よしとしよう。
そして、今年初草餅。生涯で一番おいしいと思った和菓子屋さんの草餅。2週間前に聞いたときは「まだですね」と言われていたが、1週間前には店先に草餅のポスターが貼ってあったそう(きょうだい談)。で、今日、今年初草餅。たらふく食べた。大満足。
【今日見たもの】
NHK『お別れホスピタル』第3話
土曜22時にNHKで放送している『お別れホスピタル』というドラマを、私はNHKプラスで見ている。NHKプラスの配信期限は「次話放送の直前だったか直後」で、私は毎話そのギリギリの土曜日に見ている。土曜に見ると決めたわけではなく、「わーー今日見ないと終わっちゃうーー」と焦って見るパターンだ。
例によって今回もそうで、今日は先週放送された第3話を見たのだけど、ものすごいすごかった。すごいものを見た。第2話はわりと身近な話のようにものすごく琴線にふれていた。高橋恵子の役どころと、あのように身近で暮らす者を見ているからだろうと思う。自分の過去を重ねて見てしまうところもあった。
第3話は、自分に身近な話ではなく、徹頭徹尾画面の向こうのフィクションだったのだけど、そのフィクションがすごすぎて、「すごいものを見た」と感じた。もっと早くに見て、もう一度見返したかった。見返すのにだいぶ気力が要る重い話だけど、これはそうしておくべきだった。
今日放送の第4話が最終話なのだそうだ。それを見てから、もう一度感想を書きたい。
(2024年2月24日付けの日記)