いつのまにか眠っていた古本くんがふと目を覚ますと、あたり一面は天井まで届く大きな本棚がいっぱい!
「わぁ、ここは京極夏彦先生の家だ!ぼくはついに辿り着いたんだ!」
古本くんはさっそく自分が入る隙間を探しましたが、どの本棚にもみっしりと本が詰まっており、どこにも隙間がありません
「えーん、ぼくの入るところがないよう」
古本くんが泣いていると、どこからともなく黒い指ぬきグローブをつけた着物の男性が現れました!
「京極先生!」
「隙間というのは作るものなのです」
京極先生はそう言って一冊の本に手をかけ、別の本と場所を入れ替えました
次々に本を入れ替えていく京極先生を、古本くんは黙って見ていました
「いったい京極先生は何をしているのだろう?」
そう思っていると、京極先生はぴたりと動きを止め、本棚のある場所を指差しました
「隙間というものは作るものなのです」
京極先生は先ほどと同じことを言いました
古本くんが見ると、京極先生の指差す先にはちょうど古本くんが入れるだけの隙間ができていました
「うわぁ、京極先生ありがとう!」
古本くんが喜んで隙間に収まると、京極先生は
「やれやれ、また本が一冊増えてしまいましたね」
と少し困り顔をしながらも満足気に頷きました
めでたしめでたし