ここのところ、映画を観に行けてなくて、観に行きたい欲が高まっていたところで朝早く目が覚めて、勢いで映画を調べたら間に合いそうだったので急遽観てきました。
今回もネタバレ含みますので、観に行こうか考えている方がいらっしゃったらお気をつけください。
作品について
ウィキより引用
『陰陽師0』(おんみょうじゼロ)は、2024年4月19日に公開された日本映画。脚本・監督は佐藤嗣麻子、主演は山﨑賢人。安倍晴明生誕1100年記念作品。
夢枕獏の小説シリーズ『陰陽師』を原作としているが、本作は夢枕の全面協力の元、晴明が陰陽師となる前の青年時代を完全オリジナルストーリーとして描いている。
ということらしい。私は原作のことも今回の映画で初めて知った。
あらすじ
平安時代、呪術師というのが本当に大好きな世界観なので、きっかけがあれば観たいなと思っていた。
過去にも野村萬斎さん主演で映画あったけど、観る機会がなく、今回私の初陰陽師映画だった。
おおまかなあらすじは、陰陽師という職業にも階級があって、その陰陽師になるための寮の学生(がくしょう)である安倍晴明:山崎賢人。他の学生たちは親に楽させたいだとか、百姓生まれの出世方法と言えば陰陽師になること、のようで、とにかく出世のために勉学に励むんだけど、安倍晴明にはそういうことはどうでもよく、自分の両親を殺したものを見つけて仇を討つために生きているという感じ。しかし、「狐の子」と呼ばれ、呪いを扱うことができると噂され、学生内でも安倍晴明は一目置かれていた。
そんな安倍晴明の前に、貴族である源博雅(みなもとのひろまさ):染谷将太が現れ、博雅のいとこで秘かに想いを寄せる相手、貴族の徽子女王(よしこじょおう):奈緒が困っていることがあるため解決してあげてほしいとの依頼を受ける。
その、よしこ女王が困っている内容というのが、「深夜、琴の音が聞こえ、その音のする方へ近づくと、奏者はおらず勝手に琴から音色が出ている。また、その琴から金色の龍が出ていくのが見えた。その現象が続いている」とのこと。
そういった怪異を解決しながら、安倍晴明は大きな陰謀へと巻き込まれていく…というお話。
多要素ながらまとまっている
染谷俊介演じる博雅がすごく良かった。楽器の演奏が得意で、少しおバカで意気地なし、だけどいいやつ。最初は安倍晴明も、身分だけは高く、バカな貴族だろう、と無下で無礼な態度を取っているが、この二人がバディとなって物語は展開されていく。バディものが好きな私としては大喜びだった。うろ覚えの会話で正確な言い方ではないのだが、まだ信頼関係を築けていない最初の二人の会話で
博雅「お前友達いないだろ」
晴明「そんなものも所詮、呪、だ。そう思い込んでいるだけだ」
という会話がある。そんな二人だが、共に怪異の謎を解明していくうちにどんどん仲良くなる。こんなことを言ってるのにね。
また、博雅が想いを寄せるよしこ女王との純愛物語もかなり丁寧に描かれており、この時代の男女の恋愛の難しさ、身分の違いや、好いているもの同士だからと一緒になることができるとは限らないもどかしさ、切なさが最高に刺さった。
博雅はよしこ女王を誰よりも大切に想っているが、大切だからこそ、何もできないという。そんな中、帝はよしこ女王への恋文を博雅へ持たせるのである。
この時代の恋文が意味するもの、それもこの国の頂点に君臨する帝からの。断りなど許されない、実質、求婚である。そんなものを、大好きな博雅から受け取るのである。博雅から恋文をもらえるのであろうと期待していた、よしこ女王の気持ちと言ったら…あまりにつらい。
文を読み終えたよしこ女王が「どうして持ってくるのですか?!受け取ってしまったら…もう断れないじゃない!!もう嫌!!みんな勝手に決めるの!今までも全部そうよ!」と泣き叫ぶシーンがあるが、泣いた。
女優の奈緒さんの演技が素晴らしく良かった。今まで存じ上げなかったのだが、かわいらしくてすごくぴったりな役どころだったと思う。この時代の女性の役割、時代背景を考えると、戦や政治に利用されてきた女たちのことを考えずにはいられなかった。
結局、よしこ女王は帝へ嫁ぐこととなるが、それでもふたりがお互いの気持ちを吐露し、いつまでも互いを想っています、と言葉を交わすシーンはとても良い。
それからCGもすごくリアルで、そうかと思えばこれはすごいCGだな!みたいな感じもあり、急に始まるアクションも良かった。笑
安倍晴明、そんな動けるの!?とびっくりしていた。優雅に動く所作が多い作品だが、安倍晴明が捉えられまいと逃げるシーンでは、空中を歩いたり、ひらひらと大勢をかわしながらこの世のものとは思えない動きをしていた。
そのようなカッポカッポと音が鳴りそうなとんがり靴を履いてそんなに走れる!?となる。
とは思いながらも、こういう現実離れした動きや世界観を求めてこういう映画を観に来ているので、そうそう!!こういうのだよ!!CGたっぷりのこういうのが観たかったんだよ!!となった。テンションが上がった。
作品の終盤、この物語のラスボス、全体的な黒幕は誰なんだ?!というのが最後までうまく描かれていて、うわそっちか…と良い意味で裏切られる感覚も味わえる。
安倍晴明が術式を唱えながら、指でポーズを取り術を繰り出すのだが、呪術廻戦同様に、あの動きは指フェチにとってはたまらない。結界とか、床にできる丸い星の円陣みたいなの、なんて呼ぶか全然知らないんだけど、そういうの厨二の心がくすぐられるんだよ、見ていてワクワクするんだよ。
最後まで面白かった。
光の表現が美しい
平安時代、明かりなども未発達なので、暗闇の方が長い。
羅生門とかもそうだけど、昔の作品に暗闇の中で会話する場面や暗い時間帯に事件が起きたりっていうのはこういう時代の作品は定番だもんね。昔の人たちは本当にすごい。
そのため暗いシーンも多いのだが、それ故か晴れた日の映像や差し込む光がすごくきれいで印象的だった。意図的なのか…。全体的に光の描写が美しかった。
お話としてきれいにまとまっていたので、続編は無いんだろうな…と言う気がしている。原作の小説を読めば世界観の続きは読めるので、すごくそっちが気になった。あとキャストがすごく良かった、役柄みんな名前も難しいのに、個性的なキャストが多くてみんなちゃんとわかるの、混乱しなくて良かった。
久々にあっという間に感じた映画だった。