相対性理論と、やくしまるえつこさんソロの好きな曲をいくつか。
・13番目の彼女/相対性理論
音階・メロディ・歌詞・歌い方・BPM・雰囲気、全てが肌なじみ良く心地よい曲。サビのザ・相対性理論っぽさなんか最高。晴れていて空が明るいのにザーッと通り雨が降って頭から濡れてしまった後、すぐに雨がやんで雲間から陽光が差し込んで、街路樹やコンクリートの水たまりや標識、世界の全てがキラキラと光っている瞬間。この曲を聴くと、そんなイメージが頭に広がってくる。いつも目にしている日常を美しく魅せてくれる魔法。
一小節目の不協和音の伴奏がすごくエモーショナルで、えつこさんの透明な声が輝いている。そして和音に重なって静かに鳴るハイハット、イントロに入る前のスネア一閃がやっぱり好き。イントロで流れ込んでくるギターとベースの優しい音色。Aメロから目くるめく一日が始まる。この曲は早起きした朝、窓から外を眺めて聴くか、日の出~朝八時頃までにお散歩しながら外で聴きたい。「キラキラ輝く午前4時」の歌詞を肌で感じることができる。音楽が進むにつれて、どんどん煌めいていく各パートの音が心地よくて、一度聴いたら一回で済むことはない。何度もリピートしてしまう。間奏のギターの格好良さ!
長く聴いているとか、思い入れとか抜きにして、単純に音楽として相対性理論のなかで一番好みなのは「13番目の彼女」かも。ポップでキッチュで切なくて、一言で表すと”瑞々しい”と感じる一曲。
・LOVEずっきゅん/相対性理論
相対性理論を教えてくれた友人と江ノ島に行ったことがある。友人と合流するまで、知ったばかりの「LOVEずっきゅん」をずっと聴いていた。そのため、この曲を聴くと江ノ電から見える水色の水平線や、江ノ島の潮風が目に見えるような感覚に陥る。思い出と強烈に結びついて、イントロを聴くと気持ちが一気に十数年前に戻っていく。あまりも格好いいギターサウンド。相対性理論といえばこの曲をまず思い浮かべる。
・スマトラ警備隊/相対性理論
このイントロで心をわしづかみにされない人間なんているのか。アップテンポで突き進んでいくリズム隊にしびれる。自分の中で芯となる音楽体験がいくつかあって、好きな音楽だけを聴いていた十代、それから二十歳前後で色んな人から色んな音楽を教えてもらって世界が一気に広がった時に「スマトラ警備隊」をよく聴いていた。新しい音楽に出会った時の新鮮な驚きと嬉しさや、毎日や未来がキラキラ輝いて見えていた大学生の頃の無敵感が呼び起こされる(思い出は美化されるもの)。とにかくサビに入る前のギターのピックスクラッチが好き。
・ペペロンチーノ・キャンディ/相対性理論
このイントロで心をわしづかみにされない人間なんているのか・二回目。少しピッチ低めのオクターブで奏でる「ファミレミレドレドシドシラファ・ソー」の四小節で一耳惚れ。この曲の良さはとにかくドラムス。細かく刻まれるリズムが心地よいこと!もう十年ほど、ひな祭りの日に律儀にこの曲を聴いている。サビのえつこさんのコーラスが可愛らしくてたまらない。
・気になるあの娘/相対性理論
嫌なことが続いたり、憂鬱な気持ちをぶっ飛ばしたい時に爆音で聴くと、イントロのシンバルで全てが掻き消されて良い気持ちになる。ここまで書いて思ったけれど「地獄先生」「アワーミュージック」など穏やかな曲も好きだけれどやはりBPM高めの曲を求めがち。中でもこの曲はサビのえつこさんの歌い方含め、疾走感があってかなり好み。
・Z女戦争/やくしまるえつこ
えつこさんがティカ・αとしてももクロに楽曲提供したこの曲。ももクロは初期〜「サラバ、愛しき悲しみたちよ」あたりまで追っていたので、意外な曲提供で当時驚いたことを覚えている。五人が歌うとポップで良いのだけれど、二番「ねえデリンジャー」あたりはやや歌詞を理解しきれてない感が伝わってきた(勿論そこも含め可愛い)ので、えつこさんが歌うのを聴いてとてもしっくりきたのが本音。ももクロ、えつこさん、どちらのバージョンも好き。
・ヴィーナスとジーザス/やくしまるえつこ
言わずと知れた名曲。アニメ「荒川アンダー ザ ブリッジ」のOP映像を何度繰り返し観たことか。00〜10年代のシャフト(アニメ制作会社)のハイセンスさとえつこさんの透明な歌声が絶妙にマッチ。サビの耳心地良い浮遊感がたまらなく好き。
・少年よ我に帰れ/やくしまるえつこ
こちらはアニメ「輪るピングドラム」OPから。同アニメOP「ノルニル」から続き、えつこさんの歌声が作品にぴったりで、物語の後半戦を彩ったこの曲に何度泣かされたことか。朝四時に最終回を見終わったあと、何もかもが信じられなくて大号泣しながら、段々と窓の外が明るくなり、カーテンの隙間から朝の光が漏れるのを呆然と見つめていた記憶。閑話休題。この曲を聴くとそんなことが思い起こされて感情が爆発するので、心を落ち着けて聴きたい思い入れの深い曲。
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この文章を書くために沢山曲を聴いて、色んな思い出が甦ってセンチメンタルな気分になった。唯一無二の歌声、唯一無二のバンド。ただ、えつこさんのソロは一部しか聴けていないので、この機会にまだ未聴の曲を掘り下げたいな。