かれこれ半年は経つだろうか。右目だけ、二重だったのが三重になってしまった。
もとの目を割と気に入っていたので何とか元に戻らないかと、まぶたを引っ張ってもとの線になるように誘導してみたり、ホットアイマスクを当てたり、目の周りをマッサージしてまぶたを労ってみたり。まぶたの機嫌を取るために奔走していた。
しかし。さすが私についているだけあって頑固なまぶた!
一瞬だけ二重になっても数時間たてば三重に元通り。 そうして、初めのうちは数時間だけでも二重に戻ってくれていたが、ここ最近は二重に戻ることすら無くなってしまった。わたしのまぶたは、もう三重として生きていくと決めたらしい……。
それならば仕方ない。わたしも無理に二重に戻そうとすることを止めた。
三重まぶたの自分を受け入れ始めると、以前ほど自分のまぶたのことが気にならなくなった。毎朝、顔を洗ったり鏡を見るときに「まだ三重だな」と思うことはあるけれど、それ以上でもそれ以下でもなくなっていった。
そして他人に「今日はまぶたが三重だね」なんて言われることもなく半年ほどたち、自分の容姿を気にしているのは自分くらいなのだと、改めて思い知らされる。
わたしも正直、あの友達やあの先輩のまぶたが一重か・二重か・三重か思い出せないし……。 よく顔を合わせている人の、目も鼻も口も、どんな大きさでどんな形だったかよく思い出せないのは少し切ない。
わたしが特別関心が薄いだけかもしれないけれど、他人の事はなんだかボンヤリとしたオーラのような、概念として捉えているフシがある。
他の人から見たらわたしはどんな概念として見えているのだろう?
一度、自分の外側から「わたし」を見てみたい。思ってたより「いいじゃん!」と肯定的に感じるのか、はたまた粗ばかり気になってしまうのか……。 二重が三重になっていることに気付けるのか。
今日はどうしたら自分の外側から「わたし」を見られるのか、考えながら眠りにつこうと思う。上手くいけば夢の中で体験できるかもしれない。