水族館に行った時、私と友人が水槽の中の魚を写真に収めようと必死になっている隣で、鉛筆とノートを持ってじっと水槽を見つめているお子さんがいた。
魚を見てはノートに視線を落とし、顔を紙にぐっと近づけて真剣な眼差しで線を描く。魚の模様のひとつひとつ丁寧に描いていく様はまさに職人技……みたいな緊張感があった。
ピントを合わせたり、写真の中に収めようとしたりして、スマートフォンの画面に夢中になっている私の傍らで、実物をじっくり観察して、その動きや質感を見ながら絵に落とし込んでいく職人。
印象に残ったところは自然と描き込むのかな、描いたことで直接見た魚の記憶がより残るだろうな、とかいろいろ考えてしまい、すごく見ていてグッとくるものがあった。憧れるぜ…。
帰ってから、水族館の公式サイトを見つつ、記憶を辿りながら魚の絵を描いた。でもやっぱり、実物を前に描く方が見た生っぽい感想を絵に反映できて、描くのも楽しいんだろうなあ。
水族館は人の多さもあって抵抗がちょっとあるけど、静かな植物園とか行ってスケッチしてみようかしら。私もあの時見た職人のような眼差しができるだろうか。