情報伝達の文章の書き方について調べていたところ、以下の 4 つが有用だと感じた。それぞれを、簡潔さが求められる順番に並べてまとめる。
米軍のメール術
ジャーナリストの逆ピラミッド
トヨタのペライチ資料
マッキンゼー式の『考える技術・書く技術』
米軍のメール術
件名におおまかな要件を入れる
【申請】、【決定】、【依頼】、など。
結論 → 背景の順番で書く
無駄を省く
受動態は使わず、能動態を使う。
ジャーナリストの逆ピラミッド
この図の通り、重要な話題から些末な話題へ、だんだんと詳細化して書く。
最もニュース価値のある情報、5W1H
重要な詳細
雑多な情報、背景情報

ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士による解説はこちら。
このフォーマットは、電報でニュースを伝える際に編み出されたらしい。当時は、出来事を時系列順に送信するのが一般的だったが、それでは通信が途絶した場合に結末が伝わらないという問題があった。
トヨタのペライチ資料
ペライチは A4 コピー用紙の事を指している。以下の内容を盛り込む。
表題:話の概要(~について)を書く
依頼:読み手にしてほしいことを手短に書く
結論:依頼の理由を手短に書く
論拠:結論の根拠となる事実を(3 つ程度の)箇条書きで書く
補足:相手が気になりそうなポイントを書いたり、通信欄として活用する
トヨタでは細かな設計変更などでも必ず上司の承認が必要らしい。その際、忙しい上司からはペライチでまとめるよう依頼されるのだとか。
個人的な観測範囲では、仕事ができる人のチャットはこの形式に従っていることが多いと感じる。
バーバラ・ミントの『考える技術・書く技術』
ロジカルな文章構造についての定番本。この本を焼き直して出来たビジネス書は星の数ほどあるのではないか。
概要としては、テーマに対する Why So?(なぜそう言えるのか)を 3 つほど挙げ、さらにそれぞれに対する Why So? を 3 つほど挙げる、といったもの。
こうして作り上げた構造は、ツリーの形で表すとピラミッドのように見えるため、ピラミッド原則と呼ばれる。なお、論理展開の方向を逆にたどっていくと、自然と So What?(だから何なのか)に答える流れが出来上がる。
また、この構造を段落の内部にまで適用したものが、パラグラフ・ライティングと言われている。英語圏においては学校で習うテクニックのようだ。
それぞれのやり方に共通している点を挙げてみる。
結論が先、根拠は後
見出しやフォントサイズで構造を明示する
これを守ることで読み手が
全体像を把握しやすく、
どこまで細かく読むべきかを判断しやすく
なるのだと思う。
ただし、これらのやり方は、簡潔かつ明快な情報伝達の文章のため、という条件付きである。人間の情に訴えかける必要があるような、例えば演説のような場面には不向きかもしれない。ときには優先順位を逆転させ、結論を保留し、綯い交ぜになった主張、事実、想いをエピソードの形式で語るべきなのだろう。