「いるいないみらい」窪美澄

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妊娠が判明してから5ヶ月が経った。(現在妊娠6ヶ月)

前の結婚では子どもを持つことに対してとても悩み苦しんだ。「子どもが欲しい」と思えない自分を、妊活をしながら「子どもができたらどうしよう」と思ってしまう自分を責め、最終的に結婚生活を壊してしまった。

それから6年経った。妊娠は計画したものではなく、判明した時は驚いたし正直かなり混乱した。でも、これで良かったと思う。

いろんな考え方があると思うけれど、わたしは意識的に子どもを作ることがどうしてもできなかった。

一方で、社会は少子化対策のために「子どもを作れ」と暗に叫ぶし、周囲の友人・同僚たちも当たり前のように「子どもが欲しい」と話す。「作る」意味も「欲しい」と思う意味も、正直分からなかった。

妊娠したことをやっと後悔しなくなった。偶然にも子どもが授かったから健康に産みたい。健康に育てていきたい。と思うようになった。

社会に求められるから、周りの人はみんな子どもがいるから、ではなく、授かったから全うするという選択肢を取れて、これで良かったんだと思う。

◾️引用

「食べたいから食べるじゃだめなのか。子どもだってそうだ。子どもなんてそもそも、作ろうと思って作るもんじゃないだろ。」

「自分の個性として強く主張したいわけではない。それを言ってしまうことで「女なのに子どももかわいいと思えないのか!」と糾弾される恐怖を感じる。だから、普段はひた隠しにしている。噓をつきたくないなんていうのも、子どもじみた言い訳だと茂斗子は考えていた。」