末摘花

n_s
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冒頭から夕顔を思い出すシーンから始まって若草を挟んでも(年齢的に紫の上は恋愛対象にはまだいたらないこともあるけど)慕っていて、これまでも何度も「浮気な男に見えるだろうけど違う」と言っていた源氏の言葉に多少説得力が出てきている。また仕事の競争に嫌気をさしているもしょっぱなに書かれていて今までと違う雰囲気を出していた。仕事に触れるのはこれが初めてくらいの感じがする。

まあ一通り今までの女への未練を回想したら早速また女をのぞき見に行くんだけど・・・。今回の話は天皇の血筋だけど親を亡くして貧しい下層?貴族なってしまった超奥手な女性がターゲットになってる。

頭中将が光源氏の行動の怪しさから職場からこそこそ後をつけてきて女を見に来てるのがばれて源氏もバツが悪そうだった。二人が琴の音を聞いた後に同じ牛車で家に帰って二人して仕事帰りの雰囲気かもしだしてごまかしてるのは微笑ましい。

そのあと意外だったのは頭中将がその女に手紙を出し続けていたこと。常識人(二十一世紀基準)だと思ってたのに!ただし奥手な人で全く返事をもらえてなくて源氏に相談の手紙を出したら源氏は実は大して興味なかったんだけれどもこのまま頭中将が手紙を送り続けたらそのうち二人は仲良くなって最初に会った自分が傍から見たら捨てられて乗り換えられたみたいに見られるのを恐れて急に熱烈接近していく。冒頭の仕事の話で他人の様子を伺いつつ競争するのに疲れた的な話はこれの伏線だと思った。結局やってること同じ。

今回は命婦が狙っている女性との間に挟まれてた。毎回女との間に挟まれてやれやれ状態になっている人は違う。

早速また女のところに行ったが全く相手にされず(奥手で不愛想)朝帰りになって家で寝てたら頭中将が暇人やなー的な雰囲気で登場した(自分は仕事の途中でいったん家に立ち寄ってまた職場に戻る)。そのまま寝てるのかと思ったら源氏も一緒に仕事について行って女は捨て置き仕事に精をだしたり優先度は仕事が上なんだーっと(今回の女に本質的には興味がないせいもあるかも)。仲良く(頭中将と)二人で一緒の牛車に乗ったりして通勤してるのが高校生感ある(牛車は一応2台だしてて)。

仕事が落ち着いた後も紫の君がかわいくて六条御息所ですらほっぽりだされてるくらいでこの女なんてそれでころじゃない風だった。けど急に、夜しか行っていないから仮に超美人だったらどうする?見に行こう!みたいなノリになって・・まあ美人なんだろうな、天皇家の血筋だしっておもってたらブサイク!源氏の例え(かっこいい)は光る君みたいにあいまいだけどブサイクの描写は細かくかかれていた。そしてこれまた意外なのがブサイクだから捨てるのかと思ったら思いのほかかわいそう・・・親に先立たれて奥手でブサイクで生きてけないじゃん・・みたいなノリで家来まで服上げたりとか手厚い対応しだして・・・源氏、紳士!見直した。

ここで「末摘花」という言葉が出てくるんだけど今までは住んでいるところに生えていた草花の名前で風流ないい意味だったんだけど今回はそのブサイクの描写で書かれていた色白で長すぎる鼻の頭が冬の寒さで赤くなってるのが末摘花に似てるというブサイクいじりからの名前で・・・。もうなんか・・・。その後も歌とかも詠みあうんだけれでもどうにもセンスがないようで・・・。とにかくなにをとっても残念な女性という書かれ方、言葉や態度も時代遅れのようで。それでも見捨てずにいる不思議なバランス、それこそ源氏の甲斐性に見直していたが・・・。

最後の最後で紫の君と家でお遊びしてるシーンになる。そんななか源氏が鏡をみて美男子だわーって思いながら自分の鼻に紅を塗ったら俺みたいな美男子でもこんな鼻だとこんな変な顔になるなって源氏は驚いてるし、それを見て紫の君も笑っちゃう。「俺がこんなカタワ(そんなにひどいのか!?)な顔だったらどう?」って紫の君に聞いて「まあいやなこと」で返してちゃんちゃん。

「紅の花ぞあやなくうとまるる 梅のたちえはなつかしけれど いやはや、どうも」と、君はわけもなくため息をお漏らしになります。こういう女の方々の行く末はどうなりましたことやら。

なんという終わり方!

@n_s
書かれていることは全て読んだ本をまとめていますが、その際、一切本は見返さずにだらだらと記憶を頼りに書いているので大きく間違っていることが多々あります。