平安時代の平仮名の使い方には一つの特徴があります。それは、基本的に書いた年月日が書かれない、ということです。書き手の名前が書かれないことも普通です。漢文で書かれた文書では、そういうことはありません。
平仮名は初め、そういう「消費される文字」だったのです。
平仮名をはじめに作ったのは、個人ではなく、平安時代9世紀中頃の都にいた、おそらくは男性たちであったと思われます。それも、漢字が書けないような人々ではなく、少なくともそれなりに漢字を使いこなせる人たちの間から、公式でない用途のために発生してきたのだと考えて良いでしょう。