タイミーPMMの変遷 as of 2023/11

nabe23
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序文

たまたまタイミーのProductMarketingManager(PMM)として振る舞ってちょうど丸2年が経ったタイミングだったので、全自動アサインされたアドベントカレンダーのネタに困っていたが、この2年間を振り返りつつ、タイミーPMMの変遷について簡単にまとめておければと思う(散文なので対象読者不定)。

23年11月末時点で組織全体としては4桁に迫らんとする人数になっており、22年8月に組成したPMMの部門としては兼務含めて6.5人という人数感になっている。

2021/12~:PMMとしての単独ムーブ

タイミー入社。専任のPMMはいなかったフェーズであり、現CMOからのリクエストも「マーケティング部門としてプロダクトとの接続に改善余地があると思っている。それを担うのに適していそうなPMMという職種があるのでやってみてほしい」的な感じだったと思う(もうちょっとちゃんとしたドキュメントがあった記憶は微かにあるので若干は誇張している)。組織としては正社員のヘッドカウントで100人台の規模感。

上述のようなマーケ部門としての問題意識と、私のバックグラウンドとして前職でProductManager(PdM)職だったこともあり、入社当初はプロダクト組織との接続強化を強く意識して動き出したし、ありがたいことにどちらかというと歓迎という雰囲気で迎え入れてくれた。

完全なる手前味噌だが、ProductOwner(PO)としてスクラムの実務経験があったことなども助けとなり、プロダクトマネジメント関連職やエンジニアとのコミュニケーションの基本的な勘所のようなものが押さえられていたのは、入り初めのスムースさに多少は好影響があったとは思う。プロダクトマネジメント関連職やエンジニアに限らずの話として、専門性によって好みの情報形式は異なるし、それを実務レベルで理解しておく上でいろいろな職種や組織形態を経験しておくことは有用なんだろうなと感じている。

最初の価値の出しどころは、プロダクトのテーマとしてこれええんちゃう?みたいな粒度のお題に対し、デプス/グループインタビューやマーケットリサーチなどを組み合わせて顧客そのものや顧客課題・事業課題の解像度を詳細化したり、優先順位の見解を出すような動きだったと記憶している。いわゆるGoToMarketというよりは課題発見〜詳細化のプロセスにおいてのコントリビュートだった。

また、マーケティングプロモーション側もリソースが潤沢にあるという状況ではなかったため、プロモーション部門の活動にも半身入りながら、デジタル広告運用、TVCMなど過去施策のデータ分析やそれを踏まえた次の施策のプランニング、新規施策の開発などを担っていた。

まとめると、プロダクト部門とマーケティング部門に実務レベルで伴走しながら、「ああタイミーのPMMってこんな感じなのかな」というのを自他ともに形作り始めたフェーズであった。

これまた手前味噌だが、この時に仕込んでおいて現在にも複利が効いているなというのは、プロダクトマネジメントにおいてもマーケティングにおいてもN1で顧客の解像度を高めながら課題仮説の検証やソリューション検証を磨き込むことの価値を理解してもらい、現在に至っては文化といってもいいレベルで各施策・PJTにおいてN1の理解を深めるプロセスが踏まれていることかなと思う(正直に書き留めておくと、もともとそういうプロセスを全くやっていなかったわけではなく、ありがたいことに土壌としては受け入れられやすいものがあったと思う)。

2022/8~:部門化

先のセクションで触れなかったが、主にCMOの問題意識から採用が行われたこともあり、私は組織図としてマーケティング部門の箱に所属していた(どの部門に属するべきかはこれまで何度か組織設計の論点になりはしたが、結果として現在に至るまでそうなっている)。

これまでの活動を経て、プロダクト部門における課題探索〜詳細化と、マーケティング部門における戦略構築(いわゆるセグメンテーション・ターゲティングあたり)〜ターゲットのインサイト開発の役割においてPMMのバリューがありそうだねというのがありつつ、プロダクト部門も当然複数チームがあり、なおかつ、GoToMarketにも力点を広げていきたいことを考えると手が足りておらず、採用も含め推し進めた結果、部門化された。

なお、タイミーのプロダクト部門は、ざっくりいうとマッチングを司る領域と、マッチングによって発生するスポットワークのさまざまな手続きをなめらかにする領域の2つに分かれている(ここからわかるように、タイミーは単なるマッチングサービスではなく、それにより発生する諸手続きをなめらかにするところまで含めてサービス提供をしている)。

この部門化により(正確にはヘッドカウントが増えたことにより)、プロダクトの領域ごとにPMMを張ることができ、それぞれのドメインに集中しながら課題探索〜GoToMarketといった果たすべき役割に向き合うことができるようになった。このドメインごとに張れるというのは重要で、特にスポットワークの手続きに関するドメインは、労務・法務・税務などなど、解くべき課題を特定したりソリューションの方針を立てる際にもドメイン知識の深さが非常に重要になったりする。

また、これまた当時の経緯でマーケの部門に属していたSMB規模のクライアントアクティベーション〜サクセスを担当する部署と協働し、事業目標の達成に向けた課題探索〜詳細化を担った。

ちなみに組織としては正社員のヘッドカウントで300人台の規模感(あれ、8ヶ月で150人くらい増えてる、という感じ)。PMMは兼務を0.5人で換算して3.5人でスタートした。

2023/2~:人数増加とCRM運用体制の強化

組織全体のヘッドカウント増加の大方はセールス部門ではありつつ、プロダクトの人員も増えていく中で、PMMも既存役割のクオリティを落とさないように人員を増やした。

また、22年末~23年初頭にPOとして音頭を取らせてもらったCRM系機能の増強に伴い、運用の体制もPMM内にて構築する意思決定をし、採用の一部としてもそのケイパビリティを持ったメンバーに加入してもらった(総じて、22年8月時点の3.5人 → 5.5人へ)。

CRM機能という特性上、事業系のメトリクスに責任を持つマーケターが利用したいケースが多いであろうことは当然想定していたが、一方で、こうした機能を導入した際に陥りがちな顧客価値・体験の相対的な軽視がミッション構造上起こりやすくなるであろうことも鑑み、相対的にそのバランスを踏まえて判断しやすいPMM内にて運用することが妥当と考えた(明日の売上を立てるために正解なことが、顧客のサービス体験、更にはエンゲージメントなり次回利用意向なりにはマイナスとなり、1ヶ月後ないしもっと長期における売上を毀損してしまいかねないという発想。Meta社が出しているこの辺の記事にもインスパイアがあった)。

現時点の所感としては、狙いであった顧客価値とのバランスは一定担保された状態を保っており(少なくとも問題らしきものが生じたときに必要なステークホルダーと会話し、PMMが判断を下すことができてる)、また、各所からのリクエストを受けるという構造から、副次的に事業・部門課題や機会に気づきやすいアウトカムがあると感じている。

2023/11末時点:

CRM機能の運用体制がPMM内でワークしていることを確認できたため、対応できる流量や課題の幅を増やすために人員増を行った。PMM全体としては6.5人体制となっている。

また、一般によく定義されるPMMの役割から見て明らかに手落ちだった「セールス部門への密接続と、そこから発見される課題・インサイトの各所フィードバック」にリソースを張り始めている。特に当社は組織人数としてセールス部門が最も多く、課題探索においてもGoToMarketの深化にもこれを活かさない手はないことから、個人的にも念願に近いポイントであった。着手したてでアウトカム創出はまだまだこれからという段階だが、更なる顧客・事業価値創出のための重要な楔を打ち始めている。

諸々まとめると、現時点でタイミーPMMの組織における役割は以下の4つの機能と整理しており、これらについて、メンバー各人が1~2つを担う形をとっている。

  • プロダクト併走型

    • プロダクトチームのイベントレベルにも同席しながら、チームに必要なIssue探索やGoToMarketを推進し、プロダクト戦略の遂行に寄与する

  • マーケティング併走型

    • マーケティングにおける戦略構築、インサイト開発を実行し、プロモーションチームと協働しながら戦略〜個々の施策へのフィードバックループが回っている状態を構築する

  • セールス併走型

    • セールス部門の活動に伴走しながらtoBの事業・顧客課題を現場レベルで把握し、プロダクト/マーケティング/セールスの各部門に適した情報形式でのインサイトやソリューションを提供できる状態を構築する

  • CRM活用型

    • CRM機能を武器に顧客・事業課題を解決する。もしくは必要なCRM要素を拡充する。

当然、個々で他の職種と役割が重複しうるものもあるが、それぞれのプロフェッショナルとチームレベルやPJTレベルで役割分担をコミュニケーションしながら、必要に応じて役割境界の言語化を行っている。

ちなみに、こういった職種がそれぞれどういう役割を担うべきかという話は書籍含めて世に多くあり、非常に参考にさせてもらっているが、一方で、ポジショントークを含む面も多大にあるように感じており、それぞれを真に受けると「あらゆることに熟知し優先順位判断を下せる全知全能のProductManagerと、顧客・マーケットの全てを把握しマーケティングやらプロダクトやらセールスプロセスの施策レベルでディレクションできるProductMarketingManagerと、圧倒的なセールス力とセールスプロセス構築スキルを持ち事業目標も達成しつつ顧客の課題を誰よりもクリアに言語化しながらプロダクトに反映するCustomerSuccess…」などなど収拾不可能なスーパーサイヤ人集団になってしまうので、職種というよりは「持つべき機能が組織として十分に実装できているか」というギャップを確認する定規として見ている(それでいうとそういった書籍なりに目を通すたびにまだまだ余白を痛感する状況ではある)。

その組織においてどのラベルがどんな役割を果たすかは、そういった定規を用いてのバックキャスティングと、それぞれの職種の実行を通じたアウトカム創出の両面によって形作られていくものなんだなと思うに至っている(幸い当社は役割に関する話を部門横断でもコミュニケーションしやすいと感じるシーンが多く、ありがたい環境だなと改めて感じている。そしてみんななんでか言語化力が高い)。

冒頭に述べた通り、組織としては社員・アルバイト総じて4桁に迫らんという人数感になってはいるが、最も増えているのはセールスやカスタマーサポート部門であることや、事業特性として2サイドの顧客の多様さや繁閑のシーズナリティ、オンライン/オフライン交わること等々に起因する複雑さから、果たすべき役割は狭まるどころか広がり続けている感覚があり、飽きるという感覚を持つことがない2年間であった。

明らかに力尽きたので以上。

もう忘年の月に突入しており、張り切ってお酒に浸る意気込みではあるので、今年の記憶を洗い流す前のメモまでに。