所要時間10時間くらい。とても面白かった。サウンドノベルなんて気になってるなら初見でやるに限るので、シナリオについては割愛。(ので、たぶんネタバレはない)
キャラ立ち絵。アウトラインが筆のダイナミックごん太筆致なのが目を惹く。作品の舞台である昭和感を演出しつつ、手前にキャラを配置したときの線画が太くなる遠近感も兼ねた面白い表現だった。ごん太アウトライン、手前だとしっかり太く感じるのに奥だと案外気にならないので意外。これに気づいた人すごいな…。
そしてこの、奥行きを含めて立体感を意識した画面の見せ方がすごく新鮮でよかった。ノベルゲームの画面の基本構造は「背景」「立ち絵」「テキストウィンドウ」でそこは変わらないのだけれど、パラノマサイトは背景に立ち絵キャラを直接立たせることで、臨場感を出していた。背景絵が360度繋がってる場所もあり、この作品のウリである「プレイヤーの能動的な視線移動の緊張感」をよく引き出していた。テキストウィンドウ部分は下地の窓背景無し。でも可読性を失わず(←超重要。昨今これがちゃんとできてるゲーム、大御所ですらほんと少ない)に没入感を高めていた。
また、クリアして気づいたのだけどなんとこのゲーム、ノベルゲームの華である「一枚絵スチル」が一枚もない!!クリアしてから気づくくらいには、スチル無しでも飽きさせないビジュアル画面を作っていたということで、これってかなりすごいことでは…?
その代わりに表情だけでなく、全身含めた書き下ろし差分が多い。この差分の選出が的確で唸った。そして何より表情差分の表情がどれもめっちゃイイ! 鬼気迫る表情、は女性だろうが構わずおもいっきり四白眼にしてくれるのもポイント高いです。(女性キャラの鬼気顔大好きなのに、なぜか女性キャラには表情手加減されがちなので…。)
登場人物多めなのに、各視点を用意することでプレイヤーに体感として理解するようになっているし、情報ログの情報量もコンパクトにまとまっており、わりとシナ作のお手本にしていい気がします。続編だしたい雰囲気があったので、そうして作品を細かく分けるのも混乱しづらくてウマいな…となりました。そしてふつうに次回作が楽しみ。