発売当時はこいつをまともに評価できる人も環境もなかったが、2024年の水準からするとその音は以下のような特徴らしい。
DACの能力は低くクロックはしょぼい。また情報量は少なく原音からかけ離れているが、メーカー独自の世界観により音色は再構築され、独特の美音により不足感や違和感は少ない。ただしヘッドホンはその美音を描ける解像力が必要。音場は広くヘッドホンによる違和感を感じにくい。周波数特性としては低音は少なめ。
私自身はジークフリートリンキッシュモードのために買ったようなものであり、相対的な特徴など分からなかったが、結果的にけっこう自分の趣向に合っていて、よき相棒となっている。DSP抜きに音場は広く、美音系の音色はピアノが好きな私にぴったりだ。独特と言われる質感もこれだけ聴いてたら気にならない。低音が弱いのでヘッドホン選びには難儀したが、Empyreanとの組み合わせなら帯域バランスも文句ない。複合機なのでDACとの相性で悩まなくていいし、電源ケーブルも1本でいいから助かっている。
当時としては価格、性能ともに最高峰だったし、しばらくこれを超える機種は現れないだろうと思われていた。だが、ハイエンドオーディオメーカーの参入により意外と早く世代交代は起こったようだ。当代最強たるMSBのヘッドホンパワーアンプこそ、頂点の時代が長く続きそうだ。
今システムを組むとしたらどうするだろうか。まとまった金があればAK4191+AK4499EXを搭載したDACにヘッドホンパワーアンプ、それに基本性能がもう少し高いヘッドホンを合わせる感じだろうか。
しばらくは金銭的にも無理そうだし、THA2だって、もう、ゴールしていいよね?という気持ちで導入したのだ。当分こいつを使いこなすことに専念することになるだろう。