THA2を買えばゴール…そう思ってた時代が私にもありました。 導入当初のヘッドホンはソニーのMDR-Z1Rだった。これがよくなかったのかもしれない。MDR-Z1Rはかなり手の込んだ作りになっていて、長いエージングが必要という人もいる。中には1000時間ではきかないくらいの長期エージングで化けると報告している人もいるくらいで、ヘッドホンにどれだけの能力を要求するかにもよるのだろうが、今思えばTHA2のジークフリートリンキッシュモードの効果を最大限発揮するには鳴らしこみが足らなかったと思う。
MDR-Z1Rによる音にいまいち納得できなかったので、THA2の使いこなしを真剣に考えることとなった。
これまでミドルクラスのDACやヘッドホンアンプを使ってきて、振動対策や電源対策などの効果を実感したことはなかったが、THA2はすぐ分かるくらい変化する。しかも素の状態では音はいまいち。(ハイエンド製品全般に言えることかもしれないが)金のかかる子である。オーディオは振動対策やノイズ対策をやってこそではあるので、そういう意味ではオーディオの醍醐味を初めて教えてくれた機器といえる。
オーディオボード、インシュレーター、電源ケーブル、電源系のノイズ対策、壁コン、USBケーブル、PCのセッティングなど、さまざまな対策をやってきたが、自分がやった範囲で一番敏感なのは上流に対してだ。上流は強化するほどまだまだ上を見せてくれる感覚がある。正直、時間軸を補正する回路が入ってるのなら上流が弱くてももうちょっとがんばってくれとは思う。これでもシステムに対する音の支配力は強いようなので、他の機器だとますます環境に振り回されるのだろうか。エアコン付けてるだけで音が悪くなるのが分かるっていやだなあ。
このヘッドホンアンプの音は典型的なGoldmundの世界観だそうだ。クールで美音系。アクセサリー類もこれと相反するキャラクターのものはあまりいい結果にならなかった。音の焦点が合うのが気に入ってCrossPointのアクセサリーを当初多く取り入れたが、あれは背景が黒いと言われているように、背後の響き成分を間引いているところがあるようで、残念ながら合わなかった。45万のUSBケーブルも試聴したが、ほとんどよさが分からなかった。今は壁コン以外はすべて取り外している。