【2024/03/15】悔いのない選択のために

nagiawa
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大学院に入学してから自分の今後の進路について、就職か博士進学かでずっと迷ってきた。

大学院入学時は、就職8進学2くらいだったため、大学院に入学してすぐに就職活動を始めて、サマーインターンや説明会に参加してきた。去年の秋くらいから、複数の企業の早期選考にエントリーしたが、どれもお祈りされている。データサイエンス系を志望していたが、この分野はやはり理工系学生が強くて、経済学専攻の受けはあまり良くないと感じた(計量よりの経済学Ph.D.だと話は変わってくるが)。というか、そもそも経済学研究科のカリキュラムが、早期化した就活のスケジュールとかなり相性が悪い。修士課程が3年あったら良いのにと、どれほど願ったことか。

就活を人並みにしつつ、大学院のコースワークも頑張って取り組んだ。正直、実際のモチベーションは、大学院の勉強の方が就活よりもはるかに大きかったと思う。とはいえ、前期のコアミクロは、本格的な大学数学および経済学の初心者だったこともあり、ぽっきりと挫折してしまった。消費者理論はそれなりに面白くて、難しくても頑張って食らいついていたが、不確実性下の意思決定(期待効用理論)に入った瞬間だめだった。これは自分のメンタルの弱さもあるが、数式の羅列ばかりで、いまいちその有り難みを感じられない授業スタイルだったため、仕方のない面もあったと思う。前期はコアミクロを犠牲にして、それ以外はしっかり単位を取れたからまあ良かったことにしている。

前期で得た教訓を活かして、後期はコアマクロとコア計量で優以上を取ることができた(博士号取得の要件の一つは、コア科目優以上)。個人的には、経済の時間発展を扱うマクロ経済学の方がミクロよりも面白かった。奇妙に聞こえるかもしれないが、マクロ経済学を勉強したことで初めて、ミクロ経済学の重要性を理解できた。マクロ経済学では、モデルの数式展開に経済学的な直感を与えることの重要性が頻繁に強調される。学部時代に経済学をやっていない自分にとって、この「経済学的直感」を必要とする場面は結構辛かった。そのたびに学部レベルの経済学を習得することの意義を痛感した。また、「ミクロ的基礎付け」という言葉があるように、マクロ経済学の依拠する方法がミクロ経済学で頻出する最適化問題なので、数学的にもミクロ経済学をしっかり学ぶことは大切である。

話が脱線したが、必ずしも経済学が専門とは言えない中、1年間曲がりなりにも経済学と向き合う中で、もっと学びたいという欲求が出てきた。より正確には、自分の興味のある分野を学んで、研究がしたいという気持ちが強くなった。実は入学時点では、経済学への興味よりも、ネットワーク科学、より広くは統計物理学への興味が強かった。だから、ネットワーク科学を学べるゼミに入って、気持ちとしてはネットワーク科学を自分の専門として学んできた(実際には、コースワークに忙殺されていたけれども)。しかし、1年間どちらもがむしゃらに学んだ結果、最終的には経済学とネットワーク科学の交わる領域で面白いテーマを見つけることができた。個人的には、この経済学×ネットワーク科学の研究テーマを見つけることができたのは、以前の自分の状況から見ると、とても幸運なことだと思う。

だから、自分の一番素直な気持ちを記すと、博士課程に進学したらその先どうなるかわからないけれども、せっかく見つけた研究テーマをやり切りたい。中途半端で辞めてしまうと、後悔するのは目に見えている。これまで後悔ばかりの人生だった分、自分が心から情熱をかけられることをやりたい。自分らしく晴れやかに生きられる道を選びたい。これは自分が選択した道なんだと納得した上で選んだ道なら、少なくとも「自分には選択権がなかった、自分は被害者なんだ」という感覚から生まれる後悔は抱かないだろうから。

@nagiawa
大学院生。ここでは自分のために、ものを書いてます。※ネガティブな文章の比重が大きいです