やる気が出ない。疲れている。無加工で撮った自撮りとも呼べない、自分の顔の記録みたいなものが非表示フォルダに増えていき、見る度にどうしてこんなにもブスなのだろうかと思う。綺麗な顔になりたかった。人並みのかわいさなどではなく、日本人の8割はかわいいね、と言うくらいの顔になりたかった。10割が橋本環奈だと思ってください。わたしがもしももっとかわいければ、わたしはアイドルになっていただろう。そして天下を取っていたと思う。アイドルが好きで、オタクの考えることがよくわかっていて、男絡みがなく、かわいい女の子が好きなアイドルなんて、老若男女好きだ。愛想振りまくのちょっと苦手そうなのもかわいい、と言われたい。高級猫ちゃんみたいとか、言われたい。つんとしていても許される顔になりたい。きゅるきゅるふりふりなピンクの衣装を着てもこの子はこれが似合うね!と言われる顔になりたかった。来世、もしもかわいく産まれたら、絶対にアイドルになりたい。でも、もしもかわいく産まれていたら、きっとわたしはこんなにオタクじゃないし、こんなに根暗じゃないし、こんなに卑屈じゃなくて、こんなにも屈折した思いでアイドルを好きになることもなかったんだろうと思うと、人生は上手くいかない。来世、もしもわたしがわたしのままで、ただ顔が今とまるきり違って、ありえないくらいかわいかったらいいな。
わたしはアイドルが好きだけど、アイドルにはなれないと思う。アイドルはきらきらで明るくてかわいくて努力家でまっすぐな女の子がなるものだから。アイドルになりたかった、んじゃない。アイドルみたいな女の子になりたかった。アイドルになれなくても、アイドルみたいにまっすぐに努力できるかわいい女の子なら良かった。アイドルに絶対なりたい!来世で絶対なりたい!と、そこまで思えないのは、そういうことなんだろうと思う。ステージに立つアイドルが好きだ。アイドルとはステージに立つものだと思う。かの鯖番出演者のあの子のアイドルの定義は、わたしのアイドルじゃない。けど、あの子の話す「ステージにいなくても、生活のどこかにいる憧れのアイドル」、わたしが来世なりたい「アイドル」はこれなんだろうな。
生まれ変わったらアイドル