Adobe XDで書き出したSVG画像をエディタで参照すると、随所にtransform属性が混入している問題があります。
以前からずっとモヤモヤしていることなのですが、軽く検索しても日本語で言及している記事が見つけられなかったので、対処法(少々めんどうですが)と合わせて少しまとめてみることにしました。
対処法(改めて他のツールで書き出すと取り除ける)
先にまとめです。手順は少々面倒ですが、XDで書き出したSVG画像から transform属性を取り除きたいケースに遭遇した時は、Illustratorなど他のツールで改めて書き出すと取り除くことができます。
①XDでSVG画像を書き出す(オプション「ファイルサイズを最適化(縮小)」の有無はどちらでも良いです。)
↓
②書き出したSVG画像を他のツールで書き出す(本記事ではIllustratorで開いて別名保存しています。他は未検証ですが正常にSVG画像を書き出せるツールなら基本的に大丈夫だと思われます。)
↓
+α【必要なら】外部ツールを用いて最適化(本記事ではIllustratorで挿入される無駄な部分をImageOptimで最適化しています。)
サンプルで検証してみる
パスで作ったよくありそうな以下のアイコンをXDで書き出して試してみます。

XDでそのまま書き出した結果
上記をsvg形式で書き出すと以下のhtmlコードが生成されました。
ただ表示を出すだけならこのコードでも特に問題はないのですが、今回着目したいのは随所に挿入される transform属性です。

上記コードの中では以下の赤枠部分が該当します。

XDで最適化オプションを有効化して書き出した結果
ついでに最適化オプション(ファイルサイズを最適化(縮小))を有効化した状態でも書き出してみましたが、こちらにもtransform属性は存在しています。

その他に色々試してみましたが、XDからSVG画像を書き出す限り何をどういじっても transform属性は消えてくれませんでした。
※手動でtransform属性のみ削除すると画像の表示が壊れてしまうので、XDで書き出したのみでは安全に消すことができませんでした。
XDで書き出したSVG画像をIllustratorで別名保存する
少々まどろっこしいのですが、XDで書き出した上記の画像を Illustratorで一度開き別名保存してみます。(他のツールは未検証ですが正常にSVG画像を書き出せるツールなら基本的に何でも大丈夫だと思われます。)
Illustratorで別名保存した(改めて書き出した)結果
これだと逆にとっ散らかってしまったようにも見えますが、重要なのは謎にあった transform属性が全て消えているということです。

書き出した画像の容量を比較
XD(そのまま書き出し)
611バイト
XD(ファイルサイズを最適化(縮小)オプションあり)
435バイト
Illustrator
778バイト
これだけ見るとXDで書き出すSVG画像の方が良いじゃんとなるのですが、ここから外部ツールを使って圧縮すると話しは変わってきます。
外部ツールを使って各画像を圧縮(最適化)する
今回は個人的に常用している以下のツールを使って圧縮してみます。
ImageOptimを使って圧縮した結果
XD(そのまま書き出し)
611バイト 圧縮後→ 389バイト
XD(ファイルサイズを最適化(縮小)オプションあり)
435バイト 圧縮後→ 389バイト
※毎回ではないのですが、今回のようにXDで圧縮していても更に圧縮できるケースがあります。
Illustrator
778バイト 圧縮後→ 219バイト
今回の検証では Illustratorで書き出したSVG画像の方が、XDで書き出したものよりも1.5倍以上容量が軽くなりました。
このようにXDで書き出すと多くの要素に transform属性が挿入されてしまうため、SVGタグ内の要素数が多いデータほど容量が肥大化していく可能性が考えられます。
圧縮した後のコードを見てみる
XD
最適化オプションの有無に関わらず同じ結果になりました。元のコードからtransform属性が1つだけ減っていますが、ツールの力のみでは全て取り除くことはできませんでした。

Illustrator
ユースケースによってはwidth属性とheight属性を書き加えたり、軽く手動で調整する必要はあるかもしれませんが、XDのものと比較してtransform属性がない分ベースのコードとしてはかなりスッキリしたものになっている気がします。

まとめ(やはりtransform属性のせいでXDのSVG画像は容量が肥大化している)
以上のことからXDで書き出したSVG画像は、随所に挿入される transform属性のせいで無駄に容量が肥大化しています。
加えて transform属性のみ手動で削除すると画像が壊れるので、transform属性があることで何か不都合が出た場合でも、XDで書き出したコードそのままでは対処のしようがないのもやっかいです。
imgタグで画像ファイルとして読み込む場合はここまで気にする必要はないケースが殆どだと思われますが、base64変換や.html・.jsファイルなどでsvgタグとして扱う場合はなるべく容量は小さい方が良いですし、特に手動でtransform属性を設定したいケースで勝手に入っているのは非常に大きな問題と言えます。
さいごに
この問題に気づいてから既に数年経っていますし(もしかするとXDがリリースされた最初からこの仕様なのかもしれませんね…)、XDはかなり前からメンテナンスモードになっていて積極的に開発が進むこともなさそうなため、今後もXDを使う限りはこの問題が付きまとうことになると思われます。
SVG画像の transform属性問題を抜きにしても、コーダー目線では「XDは随所でかゆいところに手が届かない非常にやきもきするツール」という印象がどうしても拭えないため、いっそ公開を終了してくれないかな…とも個人的には思っています(Figmaが優秀過ぎるのかもしれませんが…)
もっと楽で良い方法もあるのかもしれませんが、この問題に直面した時はぜひ対処法を思い出していただければと思います。