ワーカホリックが美徳だった学生エンジニアが、心身を壊して得たもの

Hina Nakahira
·
公開:2024/11/8

はじめに

B3のAndroidエンジニア、Hina Nakahira です。

私はこれまで3年間、フルタイムでエンジニアインターンを続けてきました。さらに、コミュニティやイベントの立ち上げや運営にも積極的に参加してきました。

「止まったら死ぬのか?」と言われるほど、常に活動を続けていましたが、今年の夏、大きな転機が訪れました。

突然、体調を大きく崩してしまったのです。


最もよくなかったのは、不調を感じながらもこれまでと同じペースで走り続けようとしたことでした。

「お願いだから開発させて」と泣き喚き、パートナーに「休まなきゃ死ぬ」と言われて止められたこともありました。

徐々に快方に向かっていますが、まだ万全とは言えない状況です。

周りを見渡してみて、最近心身を壊す同期が増えてきたように思います。

そのため、浅学未熟な身ではありますが、自身の失敗の共有がてら啓発記事を書こうと筆をとりました。

休養は大切

この記事を通じて伝えたいメッセージは一つ、「休もう」です。

元気の前借りで多少人よりもいいパフォーマンスや結果を出すことは可能です。

だからといって自分が「優秀」と勘違いしてはならないと、1年前の自分自身に伝えたい。

ワーカホリックというと聞こえはいいけれど、出力の管理が下手くそなだけです。

ショートスリーパーなど存在しません。

体(もちろん脳だけでも)を使えば、細胞単位で体は損傷し疲弊します。

深夜の作業効率は悪いです。

「何を今更」と思われるかもしれませんが、自身の失敗を記録するためにも書き留めておくことにします。


食事、運動と並んで、休養は健康維持における重要なファクターです。

しかし、休み方を教わる機会ってなかなかないですよね。

多くの方が睡眠不足に悩んでいると思いますし、「寝ればいい」というアドバイスは確かに的確です。

しかし心身の休養を考えると、それだけでは足りません。技術のことを一切考えず、友人や家族、恋人と楽しい時間を過ごすことも、休息の一部として非常に大切です。

就活の早期化の影響を受け、焦燥感に駆られるまま、B1やB2から絶えず開発を続けてきた方も多いかと思います。

技術的には成長するかと思いますが、それで失うものの1つが、大切な人と過ごす普通の日々です。

同期と「大学生らしい普通の遊びに行こう!青春を取り戻すぜ!」と盛り上がったこともあります。

テック系のイベントやカンファレンスも楽しいですが、たまには技術に関係のない遊びの時間を意図的に作ってみるのもいいかもしれませんね。

脳の疲労も体の疲労

疲労感は使命感や期待感によってマスクされがちです。これを無視し、休まずに活動を続けると、少し休んだくらいでは回復できない状況に陥ることがあります。このような疲労の蓄積は非常に危険です。

近年、「慢性疲労症候群」は「筋痛性脳脊髄炎」という名称にシフトしたようです。立派な疾患ですね。

筋痛性脳脊髄炎は、健康に生活していた人が突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降も強度の疲労感や微熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感、思考力の障害、抑うつ症状などが長期にわたって続く疾患です。


栄養や運動に関しては学問として体系立てられていますが、休養に関してはまだ十分に研究が進んでいない分野です。

脳の疲労は肉体の疲労としてカウントされないことが多いですが、発熱や痛みと同様に、疲労も体からの危険信号です。

社会的には、「疲れているので休む」という理由が通らないことが多いですが、これは大きな誤解です。脳の疲労も肉体の疲労と同等に、回復を必要とします。

「休んだのになぜかパフォーマンスが出ない」という状況に陥ったことのある方もいるかもしれません。

片野秀樹著『休養学』によると、心身が回復しても、脳がうまく休まっていないことが主な原因だそうです。

「脳疲労」という言葉があるので、気になる方はぜひ調べてみてください。

(片野秀樹(2024), 休養学: あなたを疲れから救う, 東洋経済新報社)

カフェインが作用するしくみ

『休養学』の中で紹介されていたカフェインの作用についても触れておきます。

カフェインは、疲労の原因物質であるアデノシンと似た構造を持っており、これがアデノシン受容体に作用することで、眠気や疲労感を一時的に感じなくさせます。

しかし、これは疲労そのものを解消するわけではなく、体からの危険信号を一時的に受け取れない状態になっているに過ぎません。

教訓

後悔を書き綴りましたが、今この段階で経験できてよかったと心から思っています。

社会人になる前に「体調を崩すと社会的責任を全うできなくなる」「寝なければ死ぬ」「自分は視野狭窄で未熟」といったことを学べたことは、非常に大きな財産です。

体を壊してしまうと、復帰には相当な時間と労力がかかります。その間に取りこぼすことも多く、もどかしく感じることもあるでしょう。

視野が狭くなってしまうと、目の前の問題が果てしなく大きく見えることが多いですが、往々にしてそれほど大事ではありません。

まとめ

休むことは決して「甘え」ではなく、健康を維持するための必要な行動です。自分自身の体調をしっかりと見つめ、無理をしないことが、長期的に見てより大きな成果を上げることにつながるはずです。

当たり前のことばかり書いてしまいましたが、誰かが今夜1時間でも早く休むきっかけになれば万々歳です。

余談

神戸っ子の私ですが、療養も兼ねて夏に札幌に引っ越しました。

食べ物が安くて美味しく、緑も多く、必要なものが全て一箇所に集約されている非常に住みよい場所です。

関西や東京のイベントにも徐々に復帰していこうと思いますが、みなさんが北海道に足を運ぶ際にはご一報いただけると嬉しいです☺️

美味しいお魚でも食べに行きましょう。

@nakahira
Androidエンジニア / X: @soleil_colza / GitHub: @soleil-colza