これは観た人か、ネタバレどんとこい人向けの感想です。見るか悩んでるよ〜の人は参考にしてね。あくまで私の主観であることを忘れないでね! 参考程度に聞いてよ。
⚠️映画(R18)に伴って、大人向けの単語をばんばん使ってます。
真っ先に思ったことが、「R18? まあグロだろ、気合い入れて見たらオケオケ」が嘘になるくらいセックスセックス解剖セックス、の連続。
これは年齢制限かける必要ある。
全然ぼかさない。女性の胸も陰毛も男性器も全部しっかり映す。びびったね……。血もしっかり出てくる。苦手な人はそこを考えたらいいかも!
次からしっかりした感想↓
この映画は一貫してチェロ?みたいな弦楽器が感情を掻き立てるBGMになっている。最初は動画の序盤にあるまんま。
モノクロ映像に、どこか不安になるBGMとともに主人公・ベラの幼児みを帯びた暴力的なシーンが流れる。
何も知らないで見に行ったから、「字幕なんだ〜!」レベル。動画の0:17(マッキャンドルをベラが殴るシーン)でベラが鼻血を出したマッキャンドルに「bad!」「bad!」、博士が「blood」、「bad!」「No,blood」って会話していた。(多分、ベラにはその気がないのに観客からすれば「ベラがマッキャンドルを不細工だと罵るシーン」に見えるのを表してる)確かに吹き替えだったら伝わらない。
ずーっとモノクロ。博士が手術をしているときに、ベラが「私も切りたい!」と近寄るのを彼が「死体にしなさい」と注意する。ベラは言うことを聞き、台に乗せられている死体に近寄り男の陰茎をぺちぺちと持ち上げて遊んでから(このシーンが映画初めての“そういう”シーンだった)、ハサミを死体の顔に何度も振り落とした。笑いながら柔らかい所を重点的に狙っているベラを、マッキャンドルがドン引きながら見る。
マッキャンドルは博士・ゴッドに連れてこられた研究者。ベラの観察をするように命じられている。
彼女が外に興味を持ち始めたとき、同時に性に目覚めた。
まーたこれが、子供が腰を振ってるみたいな気味悪さが凄い。主人公を演じるエマストーンの演技が上手いっていうのが大前提なんだけど、自慰をして喘ぎ声をあげるベラを見ながら「どうか健全な性の知識を与えてやってくれ!」と見守ってしまう。
性に敏感になった彼女を守るために、博士ゴッドはマッキャンドルに結婚するよう命じる。マッキャンドルはベラに惹かれ、ベラもまた彼に惹かれていた。
しかし彼女はワケあり。(博士が、身投げした主人公(動画では0:44)を見つける。主人公のお腹には赤子がいて彼女はまだ死にたてホヤホヤだった。そこで赤子の脳を移植され別の意味で生まれ変わったのが、ベラだった)
婚約の契約書を作るために呼び出されたダンカンは、「ここまで男を夢中にさせる女は一体どんなやつなんだ……?」と二階に忍び込み、ベラに会う。
さて、どこで画面に色がつき始めるのかはお察しの通り、ベラが親元を離れて外に出た瞬間から。
ベラに惚れたダンカンが「駆け落ちしよう」と誘い、ベラは大真面目に博士に「ダンカンに駆け落ちしようって言われた! 認めて!」とお願いしに行く。博士はそれを許した。
映画に色がついた瞬間から、ベラはダンカンとセックスに明け暮れる。エロいと感じるかは個人によるかも。私は「エ……? うん? あんまエロくないな……、ちゃんと裸体だし声も出してるのに運動にしか見えないな……」で終わった。多分ワンカットが短かったのと、BGMの不協和音が大きかったのが原因だと思う。
まー、でもずっとセックスしてる。中盤は圧巻のグラフィック美(動画の0:49,0:56)とセックスの交互で殴られる。画面も本当に綺麗なんだよね。油絵が映像になった感じ。服も頻繁に変わるし、見た目も良いしで映像求めで見に行く価値あると思う。
私は、愛のある「性交渉」とただの暴力である「セックス」で感じ方が変わるタイプなんだけど、これはずっとセックス。……Amazonプライムとかで見てたら途中で見るのやめてたかも。それくらい、ちょっと、きつい。
愛がない。
私が一番好きだったシーンは、ベラが船の上でお婆さんと皮肉屋の男性と話すシーン。この辺りから「自分の考えてることを正確に言語化するための吸収」を始めてる。本を読み、お婆さんの話を聞き、苛立ち早く部屋に帰ってくるよう言うダンカンに冷酷に「太陽の邪魔(本が読めない)」と言う。
後半から、成り行きでベラが娼婦になる。
またここでセックスの描写が増える。
いやもうマジで裸体のシーンが多すぎる。空気を読むことを覚え始めたベラは、男に愛想笑いをし「最高だった」と嘘を言うようになる。
この辺りで「哀れなるものたち」が何を指しているのか、候補が出てくる。
ベラが自分の意思をしっかりもっていたから、画面の冷酷さにウッとなるだけで済んだ。もしこれでベラが「この世は、男性は、“私”に対して扱いが酷い」って言い始めたら多分退席してた。見ていられなかったと思う。
彼女は強く聡かった。知識を身につけ、冒険心をなくさずに常に自分が何かなのかを探し続けた。
それに、彼女を人として尊重したマッキャンドルの存在もデカい。
これから先はネタバレどころじゃないから映画館で公開終了してから書くけど、お気に入りの所をちょっとだけ。
ベラがマッキャンドルに対して「〇〇しないで」とお願いしたとき、彼は「分かった、気をつけるよ」と言うのだけれど、その時の英語が「make a note of」だった(自信ない! 英語苦手だからnoteしか聞き取れなかった。ちゃんと自分の頭に記憶するよ、みたいなニュアンスだった。聞き取れた有識者いたら教えて)
彼はベラに対して本気で向き合ってるんだな、って思えた。
原作小説との違いは、小説は入れ子構造(語り手が読んだ本で物語が進む)らしく、ちょっと調べたところ映画は小説の一章で終わってるらしい。レビューによると結構違うらしくて、小説読むなら別物として読もうかなあ。
読む機会があったら読もうと思う。気になる人がいたら感想書いてる人たちの意見見て考えてもいいかも。
総括!
セックスシーン多い! 脳を掴むシーンや腹をメスで切るシーンがあるから血が本当に無理な人はサブスクで見たほうが良い!
でもそれ以上に、物語というより「芸術」の映画だった。ちゃんとした音響で聴く価値ある。画面も本当に綺麗だった。エマストーンの裸体も綺麗。(感情移入して、後半は体より彼女の表情を見てたけど)
終盤の「人間」になった彼女の演技が上手すぎる。博士に「無理だ」と言われた道を一人で平然と歩く姿は、短くて静かだったけれど彼女の成長を一番に表してた。