散々な始まり

半井ユキヤ
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 年が明けた。しかし喪中であったので年賀状は出さなかったし、Web上の新年のご挨拶絵も何だか描ける気がしなくて描かなかった。何があったわけでもないが、ちょっぴり気分が落ちていたのだ。多分、義父の死以降、葬儀や法要以外にも検診やら友人からの頼まれ事やら年末年始のあれこれやら、やらなければならないことがたくさんあって疲れてしまっていたのだろう。そこそこの時間生きてきた。たまにはそんなこともある。

 そんな矢先に、配偶者が体調を崩した。十二月の三十日に年内最後の出勤をして、泊まりの仕事で三十一日に帰宅したのだが、帰宅したときから少し体調が悪いようなことを言っていて、そのまま年を越した。

 新年を迎えてしばらくしてから寝室へ行き、翌朝起きてくると、「しんどい」と言ってぐったりしている。熱を測ったところ、三十八度を上回っていた。

 その後、熱は上がったり下がったり。そして食欲は減退。これはまずいぞと、雑炊や野菜をくたくたに煮たスープを作り、たまたまあったポカリスエットの粉をボトルに溶かし、食事用のゼリーやプリン、りんごジュースを買ってきて、常備薬の中にあった風邪薬と共にせっせと彼に与えた。その甲斐あってか、今年初出勤となる五日には何とか熱は下がり、やわやわくたくたなものではなく、おにぎりを食べられるくらいには回復した。

 そんなわけで、彼は病院に寄ってから出勤すると家を出たのだが――

「インフルA型やって」

 診断を受けた配偶者は、自宅療養を言い付けられて帰ってきた。

 とはいえ、もうだいぶんよくなっていたので、おにぎりと野菜たっぷりのスープや、特にやわらかく煮たわけでもないうどんという常食に近い食事をとり、処方された薬を飲み、連休明けにはいつもよりほんの少し軽めの弁当を持って普通に出勤していった。彼の今年初めての戦いは、無事終焉を迎えたのである。

「なんか、病んでるうちに半月近く経ってもうたなぁ」

 彼は零した。今日はもう十三日。あと二日三日で半月終わる。

 病人向けの食事を準備し、服薬を忘れないように促し、着替えや寝具のカバー等の洗濯をし――彼が病んでいる間、私もまあまあばたばたしていた。そうしているうちに、半月近く。早い。早すぎる。こないだ年明けたばっかりのはずじゃん。

 今月の後半ぐらいは、ゆったり過ごしたいものだ。

@nakyukya
まったくここはしずかなインターネッツでつね