Bリーグの観戦にハマった

ものわすれ
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公開:2025/12/20

2024〜25年の大きなトピックを書き残しておく。

やはりなによりBリーグの観戦に完全にハマったこと。わたしは今、東京を本拠地とする『アルバルク東京』を応援している。

試合に通いやすいということは、観戦においてやはり大きな要因であると思う。去年までのアルバルクは代々木第一体育館が主な本拠地で、ほんとうに通いやすかったのだ。なにしろ原宿駅から徒歩5分。仕事を終えて駆けつけるナイトゲームも「さっきまで仕事してたのに、試合というお祭り空間にシームレスに雪崩れ込む」という、なんというか日常においてハレとケが不思議なグラデーションでスイッチするような感覚があり、浮かれ気分で楽しかった。

今シーズンからはお台場のホームアリーナにお引越しした。ぴかぴかの出来立てのアリーナ!ちょっと遠くなったけど、それでも新宿や渋谷から埼京線〜りんかい線で一本。なによりビッグサイトに通い慣れたオタクにはおなじみの道のりである。

観戦に至るきっかけ

観戦の最初の動機は、やっぱり「一度は生の試合を観たい」ということだった。『THE FIRST SLAMDUNK』をきっかけにして思春期に大好きだったスラムダンクにあらためてハマり、しかしハマってからの2年くらいはスラムダンクそのものの咀嚼にかなりの力を使っていて「生の試合を観にいく」というのは興味関心としても少し先送りになっていた。

まず最初は、おなじくスラダンのオタクの同僚が代々木でのアルバルクの試合に連れて行ってくれた。それ以降、はじめの頃は通いやすい代々木のアルバルクの試合を中心に、いろんなチームの試合を観に行っていた。チームや会場ごとにそれぞれのカラーや特色があることが面白く新鮮で、なによりバスケのルールや戦術を覚えて、徐々にわかることが増えていくのが楽しかったのだ。

そのうちに、試合のある日はバスケットライブ(通称:バスライ)でなんらかの試合の配信を観ることが日々の習慣になっていった。ちなみにバスライは月500円でB1〜3の全試合の配信が観られる。B1だけでも26チームがそれぞれ年間60試合をしていて、水土日はだいたい試合がある。それが全部見放題である。YouTubeの広告を飛ばすためだけに月1200円払ってる身として、あまりに破格の値段に感じる。

そして初心者向けの解説本を買って戦術の基礎を知ったり、スタッツの見方を勉強したりすることもしはじめた。文字でイメージできないことはYouTubeでプレー動画を探して観た。そうすると次の試合では理解できることがすこ〜しずつ増えている。そういう体験に「脳が喜んでるな」という感覚があった。

↑スラムダンク時代から今に至るまでの戦術の変化や比較、ピックアンドロールや数的優位など現代バスケの入門になる話、スタッツで注目すべき項目などたいへんとっつきやすい本でした。

そして如何にしてのめり込んだか

で、最終的にアルバルクである。

惹かれた理由を自己分析してみる。まず東京のチームであること。わたしは永遠のおのぼりさんなので、上京して10年以上が経ち、既に生活の場としてこの土地に親しんでいる今でも「東京はかっこいいぜ」というシンプルな憧れのような、アホの気持ちがわりと強めにあるのだ。アルバルクのクールな佇まいは、わたしのおのぼりさん精神にたいへん効いていた。

そして堅守をモットーにしたチームであることも、今思えば惹かれた理由だったように思う。観戦を始めたてでルールや戦術もよくわからない時期に見るアルバルクには『辛抱強く耐えている』『職人肌』という印象があった。

したいことがあり、そのためにやるべきことをする。身体を使う。頭を使う。いいディフェンスのあとに上がる会場の拍手もかっこよかった。黒をベースにしたチームのトーンアンドマナーも、都会的で魅力的だった。コントロールされた雰囲気は、どこか禁欲的にも感じられた。

そして最終的にはこの動画がダメ押しの決め手になっている。

2024年、アルバルクが連敗していたときのドキュメンタリー映像。

もちろん俺たちの中には家族や子どもを支えなくちゃいけない人がいるのはわかってる

少しきつい言い方になってしまうけど、目の前こことだけに捉われちゃだめだ

もっとプレイ時間が欲しいとかも分かるけれど利他的になる必要があるんだ

もっと給料が欲しかったり、新しい契約を勝ち取りたいとか分かるけど

そうじゃなくてチームが勝つことで俺たち個人個人の評価が高まるんだ

完全にしびれてしまった。強い本音と、チームの目的・目指したい場所をはっきりさせた明瞭な、それでいて聞き手の胸を打つ言語化。なによりも、この発言をしたまだ歳若いテーブス選手のリーダーシップ。

一つ一つ やっていかないと

タフなシチュエーションだけど

もうそれしかないからこのチームは

たとえば強いチームの連勝の数字は、それだけ見れば「すげー!」「ヒャッハー!」「◯◯しか勝たん」となるかもしれない。けどその数字は目の前のディフェンスひとつ、オフェンスひとつ、タフでしんどくて、時に地道な仕事を積み上げていかないと絶対に手に入らない。

彼らは国内もしくは国外の、数百万人におよぶバスケプレイヤーのトップ層であり「こういうプレーをしてこういうチームになれば勝てるはず」というセオリーなんかは、きっと誰よりもわかっているはずなのだ。それでもうまくいかないことがある。大勝ちした次の日に、ボロ負けもする。だから試合は面白い、チームは面白い、という見方もできる。

もつれた毛糸玉をあっという間にほどく魔法は、現実世界にはたぶんない。もつれの端緒を見つけて絡まり方を観察し、考えながらじっくりほどいていかないといけない。

こんなふうにもがいているアルバルクが、わたしにはとても魅力的に映ってしまった。最初に観た試合から続いていた印象を裏切らないプロ意識、しかし『黒を纏った東京のチーム』という都会的なパブリックイメージよりもずっと泥くさい姿。

なんとなく観ていた試合に熱が入るようになり、webに存在する選手たちのインタビューを片っ端から読み、興味深い特集があれば雑誌も購入し、毎試合のゲームレポートを何度も読み返し、いつのまにかわたしは彼らのプレーに一喜一憂するようになった。

言語化のスポーツ

自分なりの観戦ルーティンができていく中で、魅力に感じたポイントのひとつに『文章メディアの発信の多さ』がある。

選手やコーチの言葉がハイペースに、そして長めの尺で発信される。毎試合後、その日の戦術やマインドセットを当事者自らが振り返る文章や映像が届く。外部のインタビューや記事の媒体もかなりある。経験不足ゆえに他のスポーツがどうなのかはわからない。しかし、はじめてチームスポーツを追うビギナーの感覚としては「毎日こんなに読むものあるの?!」と結構びっくりした。

わたしはwebのテキストを読むのが大好きなので(朝起きたらWikipediaのトップにアクセスして『選り抜き記事』をのんびり読むのが日課)これはかなり適性があった。

さらには、先ほど紹介した本の中に「バスケ選手は言語化に長けている人が多い」というくだりがあった。速い展開の中で精度の高いプレーを求められ、個々の細かいミスが全体にたちまち影響を及ぼすゆえに、コート上での選手みずからの言葉の意思疎通がとても大事なのだと言う。

わたしは自分の考えを壁打ちで言葉にしていく作業がかなり好きで、そしてそれを人に伝わりやすいよう形をととのえることや、会話として口に出し、相手との意思疎通の中で言葉をまた変遷させていくこと自体を、人生の大きな楽しみとして捉えている節がある。なのでそういったフローが重要視されているバスケの一面に、素人ながらたいへん共感してしまったのであった。

なのに頭が空っぽになっちゃう!

長々ときっかけや共感を文章にしてみたが、最終的な魅力としては「実際に観戦したら、頭空っぽで大興奮してしまう」というところにあると思う。もうまじでわけわかんなくなっちゃう。やばい!ドーパミン!

バスケのアリーナはわりと観客との距離が近い。後ろの席でも、意外と体感的に近くで選手を見ることができる。なので選手の緊張とか集中力とか、そういう感情的な発露が、想像以上に体感として伝わってくる。ボコボコにやられているときは、見ている方もマジでしんどい。観客にできることは大きな声を出して応援することのみなのだが、時々声を振り絞りながら泣きそうになるときがある。それはおそらく「普段出さないレベルの大声を出す」という行為の肉体作用と、「すぐ近くの選手の動きや表情からつたわる感情でこちらの情緒が揺れる」という共感作用のミックスの機序なのだろうと思う。

たとえ20点差を追いかけるゲームの中でも、しんどいディフェンスを終えて、次のオフェンスに向かって必死で走っている肉体の説得力はものすごい。そんな中で、諦めなければタフなビッグショットが決まったりする。目の前の人間がそれをしている。なかなか当たらなかったスリーが決まった瞬間、ブザービーターが決まった瞬間、エンドワンをもらった瞬間、おもいっきり腕を突き上げて観客の感情が破裂する。

現実のバスケでもスラムダンクの山王戦のように、20点差はへいきで溶ける。ぜったいに油断できない。残り2秒の4点差ですらマジでわからない。三井の4点プレーのようなエンドワンで、土壇場で試合がひっくり返ることもぜんぜん起こる。

そんなこんなで、毎回観戦後はへとへとで帰っている。スマートウォッチが計測する消費カロリーはジムに行った日よりも多い(マジで)。観戦のあとはよく肉を食べている(マジで)。

そしてその日の内に、もしくは翌日早朝には、選手からのゲームレポートが上がっているのである。興奮の中で見たプレーを、選手の言葉やスタッツでふたたび反芻する。この反復がめちゃめちゃ楽しい………

おわりに

わたしはとても忘れっぽいし飽きっぽい。いつかこういう気持ちも忘れちゃうかもしんないなと思って、年末の機会に長々と綴ってみた。

Bリーグは選手の移籍がかなり活発なので、来季にはまったくチームの顔ぶれが変わっているということも珍しくない。今この選手たちがこのチームでこの背番号をつけている、それはほんとうに限られた時間の中の出来事でもある。儚いよ!やばい!今年のグッズは今年しか買えない!うおーん!

そして選手たちのリアルタイムのコミュニケーションや豊かな表情を見るたびに、彼らにとっての20代や30代、もしくは40代の一度しかない一日を見せてもらっているのだな………という気持ちになる。今日も応援させてくれてありがとうな………

センチメンタルも程々に、今日も推している選手のインスタストーリーでキャーキャー言って眠りにつきたいと思います。(そういう面もとっても楽しいのだ!)