夏休み

kani2express
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公開:2025/8/20

熱海のほうに行く。

目的は熱海からさらに数駅の宇佐美というところにある、ねこちゃんのいる民宿。ネットをふらふらしていたらたまたま出てきたお宿で、お魚中心のお食事もおいしいですよ〜というレビューを見ていいなと思ってなんとなく予約してみたのであった。

新幹線で熱海に向かう。品川から30分ちょいで着く。あっという間だ。

熱海のことはあまり調べていない。ノープランだ。10年くらい前に一度立ち寄ったはずなんだけどほとんど記憶がない。汗だくでコインロッカーを確保し、とりあえず汗をひかせて落ち着こうと駅前のカフェに入る。お茶専門店らしい。太宰治モチーフのさくらんぼのアレンジティーがおいしかった。

熱海、若者でごった返している。すごい。ご当地プリンやヨーグルトデザートに大行列ができている。プリンに至っては「ここは最後尾ではありません」札が出ている。同人誌即売会だ。

細い路地を入ると昔ながらのレトロなお店の面影がたくさん残っている。地図を見ると海辺まで歩けそうだ。歩くか。

賑わう通りから道を折れて、坂を降りて、階段を降りて、海へ。遠くのほうにニューアカオホテルが見える。あんなに海っぺりに建ってるんだな。レトロホテルで有名だけど、日プ女子でなぜか合宿の舞台になっていたな…という印象が個人的に強い。

坂を降りて、階段を降りたら、どうなる…?そう、帰りは登り坂と登り階段なのだ。うお〜…と唸りながら黙って登る。風がある。折りたたみの日傘が煽られている。

駅近くまで戻り、これまたレトロな喫茶店を見つけて汗だくで入る。脳直の欲望でアイスコーヒーを注文して身体を中から冷やす。ふと周りを見ると右隣のカップルも、左隣の女の子たちも、青いクリームソーダを頼んでいる。めっちゃかわいい。そうかそういうの頼めばよかったか。思いつかなかった。

熱海を出て宿に向かう。電車は1時間に1本か2本。のんびり向かう。

宿に着く。こじんまりした民宿。さっそくロビーにねこちゃんがいる。

荷物を置いて外に散歩に出る。町もまたこじんまりしている。お店はだいたい開いてないみたいだった。海を目指す。歩いて5分もしないで海岸についた。まだまだ日が高くて暑さにやられている。

ふと海岸通りを見ると、営業しているらしきバーがある。なにか冷たいものが飲みたいと思って入ってみる。

マスターがフランクに迎えてくれた。ありがたい。ビールとハイボール。食事メニューとして干物を出しているらしい。宿の夕飯も控えているのでおつまみはナッツのみにした。

「夜には遠くに花火が上がるから、よかったらまた飲みにきてよ」とのことだ。

店を出て海岸をうろつく。日が傾いてかなり涼しくなっている。波音を聞きながら風にあたる。ほろ酔いでいるだけなのだが、風つよ〜い、きもちい〜いなどとへらへらしているだけで倍増しに楽しい気持ちになる。

食事。金目鯛をたくさんいただいた。鯛しゃぶ、さっぱりぷりぷりでいくらでも入る。煮付けもおいしい。ビールのんじゃお。白ごはんたべちゃお。わたしは酒も飲みたいがごはんもしっかりいきたいタイプなのだ。むちゃくちゃたのしい。

ロビーにぽてぽてとねこちゃんが落ちている。ねこちゃんたちはしたいように過ごしているらしい。お部屋にくることもあるらしいけど今回は来なかった。それもまたねこ次第。

お風呂が時間区切りの貸切制なので、Kindleの端末を持ってきていた。防水で軽くて旅にちょうどいい。湯船に入りながら、または湯船のへりに腰掛けながら、積んでいた小説をぱらぱら読む。

お風呂から上がってまだ元気だったので、花火を見に海のほうに向かう。夕方のバーにまた行く。お客さんがひとり。2拠点生活で、平日は東京で働いて、週末はこのあたりの海でマリンスポーツのインストラクターをしてるらしい。

宿の玄関が23時で閉まるとのことで、飲み過ぎなくて済んだ。ふとんの中でメイドインアビスの最新刊を読む。覚えていない設定がおおくて遡って数巻読む。あれ?この設定ってここの伏線だったのか?とwikipediaやpixiv百科事典を読む。旅の夜を格調高く過ごせた試しがない。だいたいインターネットをしている。わざわざ遠くに来て家と同じことをしている。

干物の朝ごはん。斜向かいのテーブルの小学生男子がめちゃくちゃ白ごはんを食べている。そうだよな、旅の朝ごはんって色とりどりで何をおかずに白ごはん食べるか迷うよな。たぶん彼は魚から卵焼きから味付けのりまで、すべてのおかずで白ごはんをおかわりして食べている。

チェックアウトのカウンターでねこちゃんが2匹。茶トラのねこちゃんが領収書の上にごろんと寝転がる。ここにくる人間がなにをしたら喜ぶかよく理解している。

熱海に戻る。下田から伊東を経由した電車は混んでいる。みんな夏休みなんだな。

昼。うなぎにする。このあとどうしようか、と考えて、ニューアカオの日帰り温泉に行くことも検討したが、うなぎを食べてお腹いっぱいになったら「疲れ過ぎないうちに帰るのもアリだな」という気持ちになり、新幹線をおさえて帰路に着く。おとなしく家に帰る。

…はずだったのだが、たまたま寄ったお土産やさんの鏡に写った自分の顔のメイクの崩れ方がちょっとなあ、もうちょいマシな崩れ方ないんかなあ、という感じで、メイクを直して新幹線に乗ってもやけに気になって仕方ない。結局、帰りに新宿に寄って伊勢丹で気になっていたファンデをタッチアップ、ついでにリップとアイシャドウも買ったのであった。脈絡ないな。急にどうした。そんな夏休みでした。