ネタバレが含まれますので鑑賞予定の方は十分ご注意ください。
わたくしはドイツ語専攻だったので多少ドイツの歴史、当時の政権について勉強しておりある程度の前提知識があったものと思われます。アンネの日記を読んだことがあり、白薔薇の祈り、ハンナアーレント、戦場のピアニストなどの映画もいくつか見たことがあります。ナチスの政策や収容所でどのようなことが行われたのか、そういったことを知っていたのです
あとラーゲリより愛を込めても収容所というものの理解に役立ったと思います
5/26に映画を観まして、私が印象に残っているシーンや気づいたところについて記しておこうと思います。なのでなんのこっちゃみたいな走り書きもあると思う
・てかさ、アウシュヴィッツの収容所長がルドルフ・ヘス(フルネーム)なんだけど、途中までルドルフの苗字がわかんなくてルドルフとヘス別人と思っててヘス誰やねんと思ってた。これ早めに気付きたかった笑
・のどかな休日、ドイツ人は森が大好き。
・家、ずっとうるさい、工事中みたいな音、ドイツ語の怒声、たまに悲鳴、塀の向こうから煙が上がっている
・汽車の煙が上がって、あ、今ユダヤ人が連れてこられたんだな…とわかる。そのあと怒声、叫び声、歩かされている
・収容所の真隣に所長ヘスの家がある。庭が広くお花がたくさん咲いている。妻がととのえたらしい
・ヘス家の末の赤ん坊はずっと泣いている。こんなに泣くか?というくらい泣く。ずっと騒音がしているから異様さに泣いているんじゃないだろうか
・一輪車がお届け物を持ってきた時、配給だと思ったんですよね。衣服や缶詰なんかもあって。でも途中で気づいた。ユダヤ人は収容される時に持ち物をすべて奪われた。これは略奪品なんだって。それを嬉しそうに分け合う婦人たち。
・ヘス夫人が自室で毛皮のコートを試着している。ポケットの中から口紅が出てくる。このコートの持ち主の物だったろう。口紅を鏡台の前で試しに塗る夫人。言いしれぬ怖さ。
・談笑する婦人たち。「このダイヤモンドどこから見つけたと思う?歯磨き粉の中よ、彼らは頭が良いの。」戦利品を嬉々として話すのが怖かった
・母方のおばあが来訪。世間話「近所のユダヤ人が収容されて、家財が売り払われた。カーテンがほしかったのに他の人に持っていかれてしまったの」こわい
・ヘスの子供たちがベッドで何かを見ている。それはいくつかの金歯。生きたユダヤ人もしくは殺されたユダヤ人から奪ったもの。金目のものは奪われる。それを遊び道具もしくはコレクションにしている子どもたち。
・夜ベッドで夫婦が話している。「イタリアのスパに行きたいわ。イタリア人は牛にアコーディオンを聞かせていたの!」「牛はこんな顔をしていたな。」夫人爆笑←いやどこがおもろいねんドイツ人笑いのツボ浅すぎる話おもんなすぎる(偏見はやめましょう)
・「いい香りだな」「フランスの香水よ。チョコレートがあったら持って帰って」スーパー行くみたいに略奪品を頼むの
・川で釣竿を持ってじっとしている所長。何か流れてきて首を傾げていると手に当たった白いものが人骨だと気づき、灰であることに気づく。川で遊んでいた子どもたちにすぐ上がりなさい!と叫び連れ帰り、家の大人総動員で体を洗い上げる。目もよく洗わせる。ヘス自身もはちゃめちゃに洗う。鼻から灰が出てくる。
・科学者たちが所長を訪ねてくる。焼却炉について説明を受ける。この時代政権下においては、収容所でいかに人間を効率よく殺すのか、いかに効率的にその死体を処分するのか、まるでゴミ処理の問題を話し合うかのように淡々と話し合いがなされているわけだ(Podcastドイツのメディアからで聞いたことあるやつー)
・秘密の執務室。家と収容所が地下トンネルで繋がっている?(ヒトラーの邸宅だか司令室だかが地下あることを思えば不思議ではない。ちなみにヒトラーが自殺した地下壕の地上は現在駐車場になっています。過激派が聖地にしたりしないように)そこへ商売女が来訪。事後?家に戻りヘスが夢遊病の子どもを抱き上げた後汗かいてるーと言われる
・所長に異動が出る。引っ越したくない妻。「ここが私たちの東方生存圏、自然も豊かで総統の言うドイツ人的暮らしができる、子どもにとって最高の環境よ。」まじか?
・「戦争が終わったら農業をしましょう、ずっとやりたかったの。」と妻。戦争が終わったら…はくるけど、この夫は戦犯として処刑されるだろうな。(されてました)
・収容所長たちの会議。ハンガリー政府が移送に合意。ハンガリーの土地にいるユダヤ人70万人を収容所に送るという。25%が選抜され(つまり75%は殺されるということですね)、20%はアウシュヴィッツ、他80%がそれぞれの収容所へ。淡々と話し合う人々。
・会議後のパーティの間、広間にいる全員をどうやって毒ガスで殺すか考えていたヘス所長。ここは天井が高すぎて無理。(こんな職業病はいやだ)
・現代のアウシュヴィッツビルケナウ博物館の映像がはさまる。天井が低い。ガス室かな。ここで殺したのね
清掃員がガラスを拭き上げ、掃除機をかける。たくさんの靴の山。たくさんのスーツケースの山。たくさんの顔写真が並ぶ廊下。
現代と交差する
・ヘス所長にもどる。おわり。
どこで殺していい人間の線引きがなされてしまうんだろう。