小1の頃、帰りの会で「今日いいことをした人は、◯◯さんです。理由は◯◯だからです。」と発表するコーナーがあった。
赤鉛筆を貸してくれたとか、給食を全部食べてえらいとか、他の人に親切にしているのを見かけたとか、そういうの。
なぜか毎日、教室の後ろにあるロッカーからわたしのランドセルをわたしの机まで持ってきてくれる男の子がいた。少しやんちゃなタイプの子。わたしは毎日、律儀に「今日いいことをした人は、Kさんです。理由はランドセルを持ってきてくれたからです。」と発表し続けた。
今思えば、毎日同じことを発表しなくてもよかった。悪いことをしてる人がいたら先生に告げ口してたし、自分の中の正義感を外に出さなきゃ気がすまない性格だったんだろう。
転校したり、転校先から戻ってもクラスが別だったりして、Kくんとはそんなに交流が無くなった。でも中3の頃は同じクラスになった。
わたしが不登校気味になると、たまに電話をくれた。LINEの無い時代。ウィルコムも持ってなかったから、電話は貴重なものなのに。
卒業式を終えて春休みに入り、受験の合否発表があった日、電話をくれた。ちゃんと合格したけど、仲良い人たちがみんな落ちて悲しいと伝えた。Kくんはいつもただ優しく気にかけてくれるだけで、それ以上は何もなくて、同級生というよりは1個上の先輩のような感じだった。
学生時代をまるごと「生きづらかった塊」と記憶しちゃってたけど、ちゃんと人の優しさを受けながら生きていたなぁ、と思い出した。
もう共通の話題がないから、優しかった人たちにわざわざ会いたいとは思わない。でも、優しいまま幸せに生きててくれたらいいなぁと思う。できれば友達とか家族とか、人に囲まれていたらいいなぁと思う。