美容院に行った。実に10年ぶりくらい。目覚めたら空がほどよくきれいに晴れ渡ってたので、そうだ髪を切ろう、と急に思い立ったのだ。見目のことはなんにもわからないから、担当の美容師さんと挨拶をしてから「理想とかセンスとかはありません」「いい人そうにみえるようにしてください」「ヘアセット楽なやつがいいです」の3つだけを言うオウムになる。若くてまだ歴が浅いらしい担当さんはそれでも優しく提案してくれ、さて切ってもらうぞという段階になって、普段は話すことがない職業のひとと接していることにふと気づいた途端、わたしはオウムからなぜなに星人になった。髪ってどんな順番で切るんですか。美容師さんって自分の髪は誰に切ってもらうんですか。今までで印象に残ったお客さんとかいますか。お客であることをいいことに思い付くままに訊きまくり、担当さんが歯医者が苦手であることなどを知ることができた。ちなみに、髪は内側から切るらしい。シャンプー、マッサージを経て髪も頭もさっぱりして、優しい担当さんに見送ってもらう。化粧っけもないし部屋着だし喋りまくるしへんてこな客とおもわれたかもしれないなぁ、と思うとそれも愉快でうれしいきもち。美容室っていいことしかない場所かもしれない。また行こう。