点と点とジャムサンド

ブチ
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公開:2024/9/23

動物ヨーチを食べたかったけれど売ってなかったから、代わりに無印良品のりんごジャムクラッカーを買った。ショッピングモールのベンチでそれを一口食べたら、唐突に、小学一年生の頃みた教科書の記述が頭に転がり現れた。どの科目かは覚えてないけど「おやつを作って食べてみよう」みたいなテーマで、お店で買い物をしてジャムサンドクラッカーを作るまでにやることが書き連ねてあったページ。当時、ジャムサンドクラッカーなんて洒落たものは食べたことがなくて、どんな味だろうかと無意識に想像しながら読んでいたことも同時に甦る。無印良品のりんごジャムクラッカーは、あのとき思い描いた味がした。もちろん、かつてどんな味を想像してたか具体的には覚えてない。覚えてないんだけど、あの洒落たおやつと同じ味であることはたしか。たぶん、絶対。なんだか、たまにこうやって理屈を追えずに確信だけがぽんっと目の前に飛び出てくることがあるよなあ。至近距離に現れた確信は、かつての小さなわたしと今ここにいるわたしを、いとも簡単に結びつける。わたしたち、遠く離れたつもりでいて同じ地平にいたんだね。十年後も五十年後もきっと、ちいさなわたしや今のわたしの延長線上に生きていて、そのことを予想外のタイミングで急に思い出したりするのかもしれない。大判の教科書を眺めるちいさなわたしに、そっと手を振る。いつかジャムサンドクラッカーを食べる未来にまた会おうね。

@nananto0
ガイトウ(街灯/外套) ことばで照らしたり、ことばを羽織ったり。