おばけは(たぶん)青い

ブチ
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おばけがすきだ。おばけというのは、頭から大きなシーツをすっぽり被ったみたいな姿をした足がないやつ。わたしのすきなおばけの概念をひとに説明するのがむずかしいなと思ってたら(そんな機会はいままでにないけど)、宮沢賢治さんの「春と修羅」をよんで、これだ!と衝撃にうたれた。序文にでてくる幽霊がほぼそのままわたしの考えるおばけだ。というか「春と修羅」の序文、わたしのおもう"世界"そのまますぎない?宮沢賢治さんすごい。宮沢賢治さんは早朝の凍りついたつららみたいなものに触れたくなった時にたまに読むんだけど、詩をあんまり読んでこなかった。なんで読んでなかったんだろう。こんなに"世界"なのに。宮沢賢治さんにとっての存在(現象)は青く明滅してるらしいけど、わたしのすきな歌人・井上法子さんに「死は青い光を放つ」という文章があって(すごくすきなので印刷してアパートの壁に貼ってる)、たぶんおふたりの考える青って同じ色なんだろうなとおもう。「ひかりはたもち その電墱はうしなわれ」。電灯がなくなってもそれを放った光のみ残るってあまり考えたことない発想だったけど、存在(現象)の説明としてはそうだろうなぁ、としっくりくる。うしなわれた星の光を空にみるようなことを、たぶん、わたしたちは毎日しているのだ。明滅する点と点を連続体だと認識するやさしいおろかさでわたしたちは生きていて、そう思うととてもうれしいな。明日も明後日も百年後も、わたしはうれしい。

@nananto0
ガイトウ(街灯/外套) ことばで照らしたり、ことばを羽織ったり。