最近、暇があれば猫ちゃんを探している。猫ちゃんがずっと行方不明なのかと不安になったあなたはとても優しいけれど、だいじょうぶ。今日だけでもう200匹くらいみつけたので。猫ちゃんたちは「find the cat」というアプリのなかに住んでいて、手書きっぽいゆるタッチのモノクロ世界で好き勝手に生を謳歌している。その別世界をちょっとだけ覗くことしかできないわたしたちに詳しいことを知る術はないのだけれど、どうやらそこでは人間が絶滅しているらしい。これは、都会の街中でさえ人間の影が一切なく猫ちゃんが勝手気儘にどこにでも出入りしていることからの推測だ。人っ子一人いないその世界はどうやら猫ちゃんにはそれなりに住みよいようで、どの猫ちゃんもたのしそうにしている。炭鉱やスタジアムや街中で、壁によじ登ったり隙間に入り込んだり溶けて床と一体化したりとその姿はさまざまだ。この猫ちゃんたちはどうも、わたしたちの世界の同じ姿かたちの生き物と比べて、だいぶ頑丈な生態をしている。地表だけじゃなく、海底やら宇宙にもその住み処を拡大しているのだ。ちなみに、どんなところに行っても猫ちゃんのやることは変わらなくて、よじ登ったり隙間に挟まったり溶けたりしている。猫ちゃん、つよいいきもの。とてもよいこと。そんな猫ちゃんパラダイスを覗かせてもらって、猫ちゃんをひたすら探すのはかなり楽しい。つかれたときの余暇にぴったりだ。こういう単純なあそびは往々にしてふと我に返った時に「わたしはなぜ、こんな意味のないことを…」と虚無感に襲われるのだけれど、このあそびはそんな感覚とは無縁だ。なぜなら猫ちゃんを探すのが得意なのは、かなりうれしいから。ありがとう、猫ちゃん。これからもたのしく生きて、わたしをかなりうれしくさせてください。よろしくね。
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