実家には大量のゴミ袋がある。
ゴミではない。ゴミ袋である。実家がゴミ屋敷という話ではない。むしろ、実家は母の尽力によって常に使いやすく整えられている。
多くの市町村でありがちな話だが、我が実家のある街でもゴミを出すには指定のゴミ袋がいる。そのゴミ袋が、実家に大量に積まれているのである。
我が家の祖母は手仕事が得意で、常に何か作っている。作ったものは溜まるわけで、その溜まった雑貨をコミュニティセンターのバザーに提供している。
チャリティのようなものなので金銭のやり取りはない。だが、コミュニティセンターの職員さんが、お礼としてゴミ箱を段ボール一箱分くれるのである。
1パック10枚入りのゴミ袋が、段ボールには30パックほど。ごみ収集のたびに取り替えても一年で使い切らない。
だが、翌年もまた同じようにダン箱一杯のゴミ袋がやってくる。
それが数年続けば、もう売るほどゴミ袋がたまるわけである。
幸いにして私の居住地は指定のゴミ袋が存在しないため、実家に帰ると数パックもらってくる。お陰で、私もゴミ袋は買ったことがない。
ゴミ袋を買わなくていいのは、ささやかながら家計の助けになる。指定ごみ袋というのは普通のゴミ袋より高いのだ。それをくださるのは完全なコミュニティセンターの方のご好意で、有り難いことだ。
とはいえ、棚一面を占拠するゴミ袋に、いい加減別のものが欲しいなぁ、と母とこっそり話すのは許していただきたいところである。