絶望に対する好奇心を捨てられない。変なところが引っかかってばかなふりができない。夢をみるのは得意なはずだったのに、それを少しでもからかわれることにいやに敏感になっていた。「悲しまずに済んだ」と報告すると怒られて、かすり傷を増やせば褒められる。私は私とそういう間違った主従関係を築いてしまったんだと思う。ランドセルで田んぼ道を帰って、バスで中学に通った。ろくに勉強もせずに高校に入り、若さを特に何にも昇華できないまま大学を卒業しようとしている。私は小さな町で平凡に恵まれていて、恵まれていたからつらかった。自分の浅はかさを許せなくて、傷つきながら育ったあなたが本当は眩しかった。こんなことを思って本当にごめんなさい。追いつきたくてわざとする空回りにも無茶にも、あなたがいないのならもう意味を見つけられない。いつも上滑りの約束、昔の話をするときの暗い声。特別だった。